28年前(1995年製)の 比較的チープなクォーツ腕時計は、20年以上も電池切れだった場合、動くのでしょうか。
「クォーツ時計の寿命は10年」とネットで書かれているのをたくさん見かけます。
結論から先に書くと、動きました。
その時の体験談を下記します。
掛け時計の代わりに腕時計
外出時は、時間は携帯で確認できるので、腕時計をしなくなってかれこれ20年くらいは経ちます。最近、家のキッチンやトイレなどのちょっとしたスペースに、インテリアも兼ねて時計を設置したくなり、置時計や掛け時計だと大きすぎるので、しばらく使っていない腕時計を活用することにしました。引出しの中に眠っていた腕時計の中から、一番、軽そうなものをピックアップ。
取り出したのは、SWATCH Mezzoforte GB419(スウォッチ・メゾフォルテ GB419)1995年製(上写真)です。チプカシよりチープな感じです。
かれこれ26年ほど放置していたので、当然、時計は止まっています。26年間のうち、おそらく20年くらいは電池切れ状態だったはずです。
SWATCHの中に入っていた電池は、RENATA(レナータ)390 のスイス製のボタン電池で、日本で該当するボタン電池は SR1130SW となりますが、自宅に備蓄してあった LR1130 のアルカリボタン電池でとりあえず代用することにしました。
動き始めたものの・・・
電池を入れ替えると、秒針は動き始めました。たまに秒針が「つっかえる」
動き始めたものの、しばらく見ていると、8-10秒や、35秒あたりの場所で、進まず、ピクピク痙攣しながらしばらく留まっては、また動き始める・・・を繰り返す状況です。結局、3時間動かしてみて、20分ほど時間に遅延が発生する、といった症状でした。
症状の原因
いろいろ調べてみると、以下のサイトが参考になりました。クオーツ時計のトラブルについて
www.mitsuido.com/quartztrouble1.htm
上のURLのページをまとめると、
- 秒針がピクピクして動かない場合
軽傷。集積回路が故障していないので直る可能性あり。クォーツ時計で一番多い症状。原因は、歯車の連結部分の汚れや油切れなど。時計は動きたいのに,何か障害があって動くに動けない状態。通常の分解掃除か部品交換で直る可能性大。 - 秒針は動いているが時間が遅れる
軽傷。この症状もクォーツ時計に多い。これも集積回路が故障していないので直る可能性あり。原因は電池残量が少ない、歯車の連結部分の汚れや油切れなど。電池交換や通常清掃で復活する可能性大。 - 時間が進む
重症。電気系統(集積回路)の故障。交換部品がなければ修理不能。 - 電池の減りが早い
重症。こちらも電気系統(集積回路)の故障。交換部品が調達できなければ修理不能。
とのことで、自分はまず1を疑いました。
回転をよくするためリューズをまわしまくる
そこで、秒針や分針、時針の連結部分の動きが滑らかになるように、リューズを何十回か、ぐるぐるまわし続けました。特に秒針がピクピク止まる症状が出ていた8-10秒や、35秒あたりの場所では、念入りに針が行ったり来たりするさせるようにリューズを時計回り、半時計回りに何度もまわしました。その上で、改めてセットして1日放置。
そうすると、1日後、時間のズレは生じておらず、問題なく稼働を開始しました。
数日後、また遅延が発生
その後、2日間、問題なく動いていたのですが、3日目に、また遅延が発生し始めました。たまに秒針が止まって前後にピクピク動いては、なんとか呪縛から解放されて、動き出す、といった感じです。今度は特定の場所ではなく、アットランダムな場所でピクピクが発生ししていたので、おそらく歯車の連結部分や油切れとは関係なさそうです。
さらに電池交換をした
その時点で入れていた電池は、自宅に数年、備蓄していた新古品のボタン電池(LR1130)でした。※一般的に、ボタン電池の寿命は3年。使っていなくても放電や劣化で残量は少なくなる。
そこで、100均に行って、新しいボタン電池(LR1130)を購入し、交換しました。
そうすると、また動き始め、かれこれ1週間が経過した現在も、問題なく動き続けています。
2回目の不具合は、電池切れだったようです。
まとめ:クォーツは繊細だがタフ
まとめると、秒針が少しでも動いている、そして「時間が進む」ではなく「遅れる」症状なら軽傷で、直る希望あり。- 歯車の連結部分の汚れや油切れの可能性があるので、リューズをたくさん回転させれば、連結具合が改善する場合あり。
- 電池は最新のものに交換する
といったことを試してみるとよいでしょう。
大切な時計なら、時計屋さんにて清掃してもらうとよいです。ただ、時計本体の価格よりも清掃やメンテナンス代金のほうが高くなる可能性もあります。
自分はてっきり、クォーツ時計は、ひどい物理的な破損でもない限り、30年~半永久的に使えるものだと思っていましたが、こちらのサイト↓
クォーツの仕組み
https://www.jcwa.or.jp/kids/hatena-14-3.html
の図解で、電池からの微電流で、クォーツ(=水晶=水晶振動子)が1秒間に3万回以上も振動して針を動かしている、というクォーツ時計の原理を知って、「クォーツの寿命は、どんなに高給な時計でも10年」と言われているのも納得しました。ロレックス、オメガ、タグホイヤー、カルティエ等々の高級腕時計でも、やはり「寿命は10年」とのことです。
しかし、「クォーツ 寿命」で検索すると、「クォーツ 寿命 嘘」という推奨キーワードも提示されることから、実際は10年を超えて稼働しつづけているクォーツ時計をお持ちの方も多いことがうかがえます。
おそらく、その「10年」というのはメーカー側が責任回避するための予防線で提示している年数であり、正確には「寿命」というか、おそらく「賞味期限」「健康寿命」的なニュアンスが強いのだろうと考えます。
実際は個体差や利用環境の違いなどもあり、10年以上・・・30年以上は可動し続けるクォーツ時計は多いのだろう、という実感です。
特にクォーツ時計発祥のメーカーであるSEIKOや、CITIZEN、CASIOなどの日本ブランドや、SWATCHなどスイス勢、その他、古くから名前が世界的に知られているメーカーのクォーツ時計なら、30年以上は長生きするのではないでしょうか。
お手元のクォーツ時計が、「壊れた、寿命かな、買い換えよう」となったら、とりあえず上記の方法をひとまず参考にしていただき、時計の存命にお役立ていただければ幸いです。
ちなみにそのスウォッチですが、そのまま壁にぶら下げるとスペースを取るのと、ベルトの劣化が進みそうなので、ベルトは取り外し、上図のようにDIYで懐中時計風にしてキッチンにぶら下げています。
上の白いパーツは、豆腐の容器です。豆腐が入っていた容器は軽く、そこそこ強度と柔軟性があるので、折り曲げや切り取りなど加工しやすくDIY工作に適しているのでよく使っています。
このスウォッチは、ベルトピンを、両端以外にも真ん中にも二か所通さなければならないようになっており(その分、しっかりベルトは本体に固定できる仕組み)、そのあたりが一般的な腕時計よりもややこしい作りになっています。