腕時計のデジタル系・・・特にチプカシ(チープカシオ)系に興味がある人は、上写真のようなデジタル時計をネット上で見かけたことがあるかもしれません。
ヤフオク、楽天、メルカリ等々、いろいろなサイトで、いろいろなバージョンが980円~1500円くらいの範囲で売られています(aliexpress や SHEIN では400円くらいです)。
いわゆる、カシオを模倣したパチモン(偽物)中華時計です。だいたい中国からの輸入雑貨屋さんが扱っていることが多いようです。
日本ほか多くの世界のメーカーの時計が、中国で組み立てられているので、中国製(Made in China)だからといって、それだけで必ずしもパチモンということにはなりませんが、問題はそのデザインです。 上の写真のものは、CASIOのロゴこそはありませんが、CASIOのA159Wにそっくりなのです。
左が正規casioのA159WA-N1DF、右が中華バチモン(ガンメタ版)。
カシオのロゴがある・なし以外は、ぱっと見、同じに見えるかもしれません。
カシオのA159Wはゴールドなどいろいろなカラーバリエーションがありますが、パチモン中華のほうも負けず劣らずいろいろなカラバリを出しており、上写真右のものは、ガンメタ・バージョンです。
類似品はかなり大量に出回っている
私は本物のカシオではない偽物と認識して、あえて中華パチモンの勉強のため(ネタのため)に、また「ガンメタ色の5リンクのバンド」に興味があり仕入れたのでよいのですが、同商品のレビューや購入前の質問欄などを見ると、カシオ純正と勘違いしている人もいるようです。この商品はCASIOのロゴが付いていないのでまだ良心的ですが、世間には、次の動画にあるように、「CASIO」の商標まで印字した、かなり精巧で悪質なカシオのパチモンが出回っているようです。
カシオ・デジタル腕時計の本物と偽物を見分ける方法
30 Ways to SPOT a FAKE CASIO F-91W WATCH https://www.youtube.com/watch?v=cNnkDyGgvGk上の動画で指摘されているカシオ F-91Wの偽物にみられる特徴が、今回紹介している中華パチモンにもいくつか確認できますので、素人でも簡単に分かる点をまとめてみました。
表面でわかること
- 液晶のデジタル表示が右下がり
一目瞭然ですが、液晶画面がなぜか右下がりで、一番右の秒の端や、日付の端が隠れてそうになっている、または個体によっては完全に隠れてしまっているものもあります。液晶表示が「命」のデジタル時計において、致命的です。但し、稀に右下がりになっていないものもあります。 - 液晶のデジタル表示を斜め下/斜め上から見ると文字化けする
これも一目瞭然ですが、液晶画面を斜め下、もしくは斜め上から角度をつけて見てみると、本物は斜めから見ても数字が読み取れるのに対し、偽物はすべての液晶英数字が浮き上がり、「88:88 88秒」となって読み取れません。 - 印字が粗雑(文字がつぶれている)
これは肉眼では厳しいかもしれませんが、虫眼鏡などで拡大してみると、偽物は印字されている「START・STOP/12・24H」や「WATER RESIST」などの文字のエッジがつぶれてしまっているのが確認できます。 - 風防の樹脂ガラスのエッジが荒い
上の動画にもあるよう、風防の樹脂ガラスのエッジの少し立体的に出ている部分を爪でなぞってみると、エッジが滑らかではなく、ザラザラしたような感覚を受けます。但しこれは個人の感覚差もあるので、感じ取るのは難しいかもしれません。 - バンド(ベルト)が安っぽくテカってる
これも比較的素人でも分かりやすいのですが、ベルト(バンド)については、本物は艶消しがかかっていますが、偽物は質が悪く、全体的にテカっており、成型時に切り取ったバリが端々に残っていたりします。結果、偽物のベルトの劣化は早いです。
そもそもバンドの長さが全然違います。
触った感じとしては、偽物も一応、ステンレスなのですが、微妙に軽く、また音もペチペチと軽い音がします。見た目も妙にテカっています。
特に上の1,2,5は、店頭でパッケージに入っている状態でも中身を取り出さずに確認できるので、カシオのデジタル時計を買おうとしている人は、試してみるとよいでしょう。
裏面でわかること
- ネジが違う
裏ブタを締めているネジも比較的 素人でも分かりやすい本物と偽物の違いの1つです。
裏蓋を止めているネジは、一見、どちらもプラスネジに見えますが、本物はネジの溝の1つが端まで突き抜けており、マイナスドライバーでも開けられるようになっています(マイナスネジとプラスネジの組み合わせ)。
一方、偽物はただのプラスネジになっています。 - ヘアラインが荒い
ステンレスの裏蓋が、本物は綺麗なヘアラインですが、偽物は荒いヤスリですったような、荒いヘアラインになっています。 - Made in JAPAN になっている
カシオ・デジタルの多くは 裏蓋には Made in China とか Made in Thailand とか、Cased in China といった表示になっているのですが、上の動画の例では、偽物は何も刻印されていなかったり、 Made in Japan と記載されていたりします。A159Wに関しては、確かにA159Wのみ日本での組み立てがなされているのですが、本物の裏蓋の表記は 「JAPAN DH」や「JAPAN M」です。
中身・機能でわかること
- ライトが違う
ライトを点灯させた時の色や時間が異なる場合があります。例えば上の「中華A159Wもどき」のライトは強い緑色で、しかも一度ボタンを押すと、ボタンを押して指を放しても2,3秒は点灯し続けます(残照機能 付き)。本物はかなり弱い黄色のライトがボタンを押している時だけ点灯します。 - やたらテープで貼っていて全体的に汚い
これは裏蓋を開けてみないとわからないので、細かく書きませんが、偽物はフタを開けてみると、やたらといろんなものをテープで貼っていたりして、パッと見、汚いです。これが液晶の右下がりの傾きに関係しているのかもしれません。 - モジュールが粗雑
もちろん、偽物は内部に積まれているモジュールもカシオ純正の「593」などのモジュールとは異なり、粗悪品となっています。
その他のカシオ擬態時計
白色F-91W
その他にもいろいろなカシオ擬態物(偽物)があふれかえっています。
上図は白色系のカシオ・F-91Wですが、左はイギリス&ヨーロッパ限定の白に近いベージュの正規のF-91W。右はバチモンの白色F-91Wもどき。
- 色の違い(白に近いベージュ vs 真っ白)
- 液晶文字の右下がり
- ライトの色が違う
- 裏蓋のネジの違い・・・マイナス兼プラスネジ(本物)vs プラスネジ(偽物)
- ヘアラインの粗さ
といったパチモン特有の特徴で識別できます。
B:MING by BEAMS
いろいろな形でカシオF-91Wもどきの中華腕時計が流布されていますが、例えば、Men’s JOKER メンズジョーカー 2018年 7月号 980円の付録「B:MING by BEAMS デジタルウォッチ」も、ことごとくこの中華擬態物の特徴を踏襲しています。- 全体的に右下がりの液晶文字
- 角度を少しつけて見ると、浮き出る背後の液晶文字(文字化け)
- 背面、裏蓋のプラスネジ
- 背面、裏蓋のヘアラインの粗さ
- 端々のバリ残り、作りの荒さ
- 全体的にポリバケツのような質感、テカリ感
残念なチプシチ(チープシチズン)
カシオにそっくりなラインナップだけれども、意外と低品質でガッカリなのがチプシチ(チープシチズン)です。上の画像は、カシオのA158W(左)と、シチズン Q&Qシリーズの G01A-001VK(右)との比較ですが、斜めから角度をつけて液晶画面を見れば、一目瞭然。
チプシチ Q&Qの G01A-001VK のほうは、中華パチモンと同じく完全に文字化けし液晶の数字が判読不能。これは致命的で、チプシチの性能は中華パチモンレベルであることがわかります。
ちなみにチプシチ G01A-001VK の裏蓋のネジも、中華パチモンと同じくプラスネジです。
このチープ系は「チープだけど高品質」が生命線なのに、肝心の品質がこれだけ悪いと、チプシチは単なる「安かろう悪かろう」であり、「チプシチ」という潮流は成立しないことになります。
多いチプカシ人口に比べて、チプシチ人口が少ないのはこの低品質に原因があるのでしょう。これではチプシチ沼にはハマりそうもありません。私はもうQQシリーズを代表とするチプシチを買うことはないでしょう。
これ系の品質を比較すると、
カシオ(チプカシ)> Blue Planet(ダイソー)> シチズンQ&Q(チプシチ)= 中華パチモン
という順位になります。
ダイソー Blue Planet は意外と高品質
巷であふれている安物デジタル時計の代表格といえば、100円ショップ・ダイソーの「Blue Planet(ブループラネット)」シリーズが挙げられます。意外とこのBlue Planetのデジタルウォッチ、斜めから液晶画面をのぞいてみると、文字化けしません(背後の液晶文字が浮かび上がりません)。
同じ中華時計であっても、前述の中華カシオもどきより Blue Planetは「高品質」であることが分かります。
さすがダイソーが検品しているだけあり、最低限のクオリティーは維持している、ということでしょうか。
中華パチモンの楽しみ方
この中華偽物カシオのラグ幅(カン幅)は18mmです。ベルト(バンド)を転用
つまり、多くのチプカシ・デジタルと同じラグ幅なので、ベルトを転用することができる、ということになります。そこで試しに、カシオ純正のF-105Wに、中華パチモンのガンメタ・ベルトを装着してみました。
よくF-84WやF-91Wに、シルバー「3連」の金属ベルトを付け替えて失敗しているのを見かけるので、この中華パチモンのガンメタ・ベルトがやたらとテカっているので、きっと合わないだろうと予測していたのですが、装着してみると、意外とマッチします。
これはおそらく、「3連」ではなく「5連」(金属のコマが横に5個つながっている)であることと、F-105Wのボタンや、表面の ILLUMINATOR などの文字がシルバーで光沢があるので、それらの配色とガンメタ・ベルトの光沢が呼応してマッチしたのかと思われます。
ちなみに同じくガンメタ・ベルトであるカシオ A171WEGG-1ADF との比較してみると、カシオ純正のA171W(左)のは艶消しで落ち着いた光沢であるのに対し、中華パチモン(右)は、ガンメタなのに、とてもテカっていることがわかります。
以上、中華パチモン・カシオを部品取りとしてパーツ活用してみる楽しみ方でした。