昨秋から冬になるのに備えて、室内履きを冬用のクロックスのサンダルに変えたところ、接触性皮膚炎になってしまったので、その体験談です。
履いていたクロックスは、Classic Lined Clog(クラシック ラインド クロッグ「ライナー付き」製品No.203591 ・・・中国製です(上図)。内部にボアが付いているものです。
この商品の宣伝文句は「暖かくて柔らかいライニングが施された秋冬用クロッグ」とのことで、この内部の合成繊維のライニングの甲の部分が問題だったようです。
起:接触性皮膚炎を発症
秋になり気温が下がってきたので、11月中頃に室内で履くサンダルをClassic Lined Clog(クラシック ラインド クロッグ「ライナー付き」製品番号 203591 に変えました。それをだいたい1日8時間くらいで1~2週間履いた頃でしょうか。
なんだかジワジワと足の下腿(かたい・・・足の脛の下のほう・・・いわゆる「弁慶の泣き所」)がかゆくなってきました。
秋で乾燥した季節だったので、「たまにある乾燥肌かな?」と思っていると、翌日にはポツポツと湿疹ができてきました。
「ん?布団の足周辺にダニでもいたのかな?」と思い、布団を一度干した後、布団乾燥機で布団を念入りに熱風消毒させてみました。
しかし、その翌日、さらに湿疹のようなものが足首周辺を中心に、広がり、その湿疹は当初の患部(足)以外・・・腕の外側、太ももの内側、肘周辺~上腕三頭筋あたり、お腹、にもポツポツと飛び火してきました。 どうやら原因はダニではなさそうです。
そうこうするうちに、その翌日には、意識して止めようとしても、かきむしらずにはいられない我慢不可能な、とんでもなく猛烈なかゆみに襲わました。 足をみるとうっすらの足首周辺がピンク色だったのが、湿疹に加え、足首から足の甲にかけてが、まるでお湯がかかって火傷したように、真っ赤になっていました。猛烈に痛痒いです。
そして翌日には足首周辺に水ぶくれができてしまいました。さらに猛烈な痛痒さが倍増です。
承:原因特定→履き物(クロックス)らしい
これはただごとではない、と、ダニ刺されの線は捨て、別の可能性をさぐってみました。足周辺で、最近の生活変化で何かあったか?というと、思い当たるのは、室内サンダルを冬物に替えた、ということだけです。靴下や洗剤、ズボンなどはこれまでと変えていません。そこで原因をこのクロックスのサンダルと推定し、ネットで調べたところ、やはりこの症状に該当する、接触性皮膚炎(化学物質アレルギー)を注意喚起する皮膚科の医師のホームページを見つけました。
(1).接触皮膚炎、接触じんま疹ここで語られている症状や写真と、自分の足の状態が合致します。ただ私の場合は、数日間履き続けたせいか、この写真の症状よりも重い症状です。
接触皮膚炎を起こしやすい防腐剤・消毒剤
13.フマル酸ジメチル(DMF):
防カビ・抗炎症・神経保護作用(多発性硬化症治療薬として使用)があります。昇華性があります。中国製家具・革靴類・クロックスとその類似品など用いられています。接触皮膚炎が多数報告されています。類似化学物質として、フマル酸ジエチル(DEF)、フマル酸ジブチル(DBF)、マレイン酸ジメチル(DMF)、マレイン酸ジエチル(DEF)、マレイン酸ジブチル(DBF)などがあります。
以前はクロックスで足に接触皮膚炎ができましたが、相変わらず夏に裸足でサンダルをはいて、当たったところに湿疹がでて当科にやってくる患者がいます。クロックスからは、フマル酸ジメチルが原因物質として検出されました。 中国製家具や皮靴などからでも検出されています
http://www.atopy-endo.com/manual18kanbe1sesshoku.html
そして、やはりこのClassic Lined Clog(クラシック ラインド クロッグ「ライナー付き」製品No.203591 は、中国製(MADE IN CHINA)でした。タグから推察するに、2016年7月に作られたのでしょうか。
このサンダルを履くのは今回が初めてではなく、これが3年目(3シーズン目)でした。毎年、秋冬に履いていたのですが、確かに昨年・一昨年も、言われてみれば、履いていた時、少しかゆくなり、「弁慶の泣き所」を掻いてしまって血を出したことはありましたが、ここまでひどい症状ではなかったので、皮膚炎だとは認識していませんでした。
原因として考えられるのは、クロックスの、
- 特に内側のライナー(合成繊維)が劣化して、
- またはライナー(合成繊維)と合成樹脂との間の接着剤が経年劣化するなどして、
- またはクロックス本体の合成樹脂が経年劣化するなどしてライナーを浸通して、
1年目、2年目は、まだ自分の体に耐性があったので何とか持ちこたえたものの、3年目は化学物質への許容キャパを超えてしまい、ついに接触性皮膚炎(アレルギー)を発症してしまったとも考えられます。
試しに、この履いていたクロックスを洗濯機で水洗いしてみたら、洗剤を入れていないにもかかわらず、水が白濁しました。クロックスから何か白い物質が水に溶け出してきたようです。
転:クロックス使用中止でピークアウト(快方への兆し)
そこで当たり前ですが、このクロックスの使用を中止しました。中止後、最初の1~2日間ぐらいは変化はなく、症状悪化が続いていたのですが、3日目あたりからようやく湿疹の全身への拡散が止まったことが実感できました。悪化のピークは過ぎたようです。
これにより、原因は履き物(クロックス)である可能性は高いことが分かりました。
全身への発疹は止まったものの、足首周辺はひどい状態で、火傷したように、真っ赤になり、湿疹が爛れ、イモ虫のような2,3cmほどの水ぶくれが両足首周辺に2,3個ずつでき、足の甲からひざ下までが猛烈にかゆい状態です。
火傷の症状に一番近いですが、放射能(放射線)で被爆をしてもこのような状態になるのかと思います。足首のいろいろな箇所から体内から体液があふれ出てくる症状です。
結:治療方法(治し方)
原因と思しきものは特定できたので、治療に集中することにしました。皮膚科に行くのが最善かもしれませんが、コロナ禍ということもあり、また自分はちょうど10年前に、皮膚科で処方されたクリーム剤でほぼ同じような症状のクリーム剤アレルギーを起こしたことがあるので、今回はその時の経験も踏まえ、医者には行かず、自己治療を進めていくことにしました。
皮膚科にいっても結局、基本は経過観察(ほぼ自然治癒)で、ヒルドイトのような塗り薬とかゆみ止めを処方されるくらいです。後はこの塗り薬はどうか?あの塗り薬はどうか?とあれこれ実験がてら、いろいろな薬を処方され試されるだけなことが多いためです。新たな塗り薬を処方されても、それで悪化してしまった経験もあります。
対処1:原因物質を遠ざける
治療の第一歩として、まずは とにもかくにも、原因物質から肌を遠ざけることが最重要課題となります。原因物質に触れている限り、治ることはありません。靴下も一新、入念に洗う
このクロックスのサンダルをもう履かないことはもちろんのこと、これまで履いていた靴下も一新、またはよく洗い直しました。他の履き物も洗う
また、このクロックスは室内履きでしたが、外で履いていたシューズ類も、念のため すべて洗い直しました。靴の消臭スプレーも使わない(選ぶ)
また、防カビ剤など似たような化学物質成分が含まれている可能性があるため、一般的に出回っている靴の消臭スプレーの使用しないことにしました。靴の消臭スプレーは、防カビ剤などが入っていない、例えば銀イオンだけのものなどを選ぶとよいかもしれません。対処2:ティッシュとハイドロコロイドを活用
患部は広範囲であちこちから体液が漏れ出ており、一部には水ぶくれもできています。そこで湿疹が広範囲に広がっている部分は、ふつうのティッシュをハンカチ状に四つ折りするような形で患部の面積に合わせて、テープ(ホワイト紙バンやサージカルテープなど)で覆って留めるようにしました。台風に備えて窓を養生テープで「米」印に貼るようなイメージです。特に足の甲の先端のほうはこの方法が最適でした。
湿疹から液漏れしている箇所や、水ぶくれの部分は、本当はこの用途には推奨はされないのですが、ハイドロコロイドを患部に合わせるような形に切って貼っていきました。ハイドロコロイドは、本来は一般的な擦り傷や切り傷用で、湿疹などには推奨されないのですが、液漏れがどんどん出ており、水分を止める必要があるのと、保湿および擦れなどを予防するために重宝しました。案の定、ハイドロコロイドはすぐに白くパンパンになったので、2,3日毎に交換するような感じでした。
対処3:温め禁止・風呂も不可
足を暖めてしまうと猛烈にかゆくなって悪化してしまうので、冬なのに温め厳禁、風呂厳禁でシャワーのみ、という厳しい生活を送ることになりました。この症状には患部を冷やすことは推奨されているので、冷水をシャワーで患部に当てるのはすごく気持ちよく、また患部の古い皮膚などを洗い流す効果もあったので、シャワーは推奨します。一番つらなかったのは、就寝中、布団に入っていると、温まって、足がかゆくなることでした。起きている時は掻くのをある程度コントロールできるのですが、寝ている最中は無意識に足で足を掻きまくってしまうので、起きたら患部が悪化していることも何度かありました。治っていくのは一進一退、1.5歩進んで1歩下がる、という具合です。
就寝中は足がかゆくなったら、なるべく布団の外に足を投げ出し、冷やすようにしていました。結果、朝起きたら少し風邪っぽくなっていたりもするのですが、かゆさで寝れないよりかはマシでした。
対処4:圧迫もよくない
自己治療していて気付いたのは、この接触性皮膚炎には、圧迫も良くない(悪化させる)、ということです。新しい靴下の落とし穴
前述の通り、靴下のすべて新調したのですが、新しい靴下は「締め付けがきつい」という事実を見過ごしていました。新しい靴下を1度洗ってから履くので化学物質は大丈夫だろう、と思っていたら、締め付けがきつくて患部を悪化させてしまいました。そこで、新しい「普通の靴下」はやめて、古いこれまでの靴下を入念に洗ったものを履くようにしました。
ベリーショートソックス+寝袋
また、くるぶしより上まである靴下は避け、ベリーショートソックスを購入し、足の甲や足首を圧迫しないようにしました。しかしベリーショートソックスだと露出部分が大きく、冬だと寒すぎます。かといって暖房器具に足を当てると、猛烈にかゆくなって悪化します。その対処法として、自分は寝袋に下半身の半分をつっこむようにして、自分自身の体温で温めるようにしました。デスクワーク中はイスから下、机の下は寝袋に両足をつっこんでいる、という状態でやり過ごしました。
現状
発症から1ヶ月が経過して、少しずつ良くなってはきていることは「かさぶた」が増えて取れていっていることでわかりますが治りは遅く、まだ治療は続いています。ふつうの擦り傷や切り傷だと表面的な外傷なので、通常皮膚は1,2週間で入れ替わるので、10日~2週間程度以内には完治します。しかし皮膚炎は皮膚の深部で発症しているため、深部で破壊された皮膚が外側に上がって来るのに時間がかかります。皮膚の内部に火種がずっとくすぶっていて、なかなか皮膚外に出てきてくれない、といった感じです。
また、広範囲であることと、一部、何度かひっかいて悪化させて部位もあるため、完治には2,3ヶ月はかかるのではないか、と見ています。
ティッシュとハイドロコロイドのおかげで、日常生活にはあまり支障はありませんが、走ることとお風呂は相変わらず控えている、という感じのここ最近です。
直接的な接触源だった足の甲の先端は、真っ赤で湿疹だらけだったのが、今はカサブタになるまで改善してきました。魚の鱗のようではありますが、体液の染み出しが無くなっただけでもかなりありがたいです。
まとめ
2種類あるアレルギー
私はクロックスのClassic Lined Clog(クラシック ラインド クロッグ「ライナー付き」製品No.203591 ・・・中国製で発症しましたが、これ系でのアレルギーは以下の2パターンあるようです。- 接触性皮膚炎(体外的なもの)
1つが接触性皮膚炎で、天然ゴム製品との接触で起こるアレルギーです。これは天然ゴム製品の製造過程で添加される化学薬品が原因で湿疹などが起きます。これは遅発型アレルギー反応によるもので特異IgE抗体の産生ないとのことです。 - ラテックス・アレルギー(体内的なもの)
もう一つが体内でラテックス特異IgE抗体の産生によるラテックス・アレルギーというもので、天然ゴム製品に接触することによって起こる発疹、 アナフィラキシーショック 、喘息発作などの即時型アレルギー反応です。これは体内でラテックス特異IgE抗体を産生する人が起こすものです。
http://latex.kenkyuukai.jp/special/index.asp?id=1270
私の場合は、1の接触性皮膚炎でした。
身のまわりは危険物質だらけ
クロックスというブランドに限らず、類似の中国製の履き物は、たくさん出回っています。靴やサンダルを素足で履くのはご法度です。また、サンダルに限らず、衣類などでも同様の皮膚炎を発症した人もいるようです。上記皮膚科のホームページによると、中には衣服の襟のタグ部分で発症した人もいるとのこと。日本はせっかく4大公害病などを克服してきたにも関わらず、最近は新興国で作られた製品が大量に輸入され身の回りにあふれるようになり、つまり、「これから公害的なものを経験する国」の製品が我々の身の回りにあふれることで、またもや日本で公害的なものを経験しなくてはならない危機的な状態になりつつあります。
この皮膚炎を含めると、昨年は中国製のもので2回、痛い思いをしました。一度目は、こちら固定電話【点滅】 故障の意外な原因にまとめてあります。
足の下のほう・・・特に下腿「弁慶の泣き所」の下のほうがかゆくなった場合、それは履き物による接触性皮膚炎の前兆である可能性があるので、もしかゆみを感じたら、早急に履き物を変えてみることをお勧めします。