以前、一人会社(株主が一名のみの株式会社。役員が1名のみ、任期は10年)の重任登記をDIY(自分でおこない)ましたので、その時のことを備忘録として残しておきます。
自分でやるにあたり、ネットで調べたのですが、いまいち「これ」という情報がなく、苦労しました。おそらく一人会社の重任登記の情報が少ない理由は、
- 会社も10年も経過すれば司法書士に丸投げする
- そもそも10年持つ会社が少ない(新規設立された法人の9割以上が10年以内に消える)
- 重任登記自体はそんなに難しくないので法務局に相談しながら自分で解決し内々に済んだ
- 一人会社につき、10年目に重任登記しなければならないことをうっかり忘れてる人が多い?
といったことが考えられます。
とりあえず、自分の経験談を残しておけば、どなたかの役に立つかと思い、下記しておきます。
申請時期は?
丸10年(決算期)が経ってから3ヶ月以内に株主総会を開いて、登記申請する。例えば、平成20年4月に会社設立し、事業年度が4月1日~3月31日の場合は、
計算方法: 平成20年+10年=平成30年・・・の3月31日が終わってから、3ヶ月以内(平成30年の4,5,6月中)に株主総会を開いて、重任登記すればよい。
・・・ということになります。
申請に必要な書類は?
①登記申請書(+印紙;登録免許税)
②株主総会議事録
③株主リスト(証明書)
の3点のみ。
※「承認承諾書」は、②の株主総会議事録 内に、就任の意思表示をし、それを援用する場合は、不要。
※③の「株主リスト」は平成28年10月1日から提出が義務付けられたもの。法務局に書式(用紙)が置いてあり、一人会社の場合は、株主(自分)の名前と持株数を書き、会社印と捨て印を捺印する程度・・・その場で作成できる程度の簡単なもの。申請時には一応、会社の印鑑を持っていったほうがよい。
※磁気ディスク(プロッピーディスクやCD-R)での提出方法を書いてあるマニュアル本などがあるが、一人会社の場合、逆に面倒くさいので、すべて紙ベースでの提出でOK。
①登記申請書
以下は登記申請書のコンテンツです。(A4:1ページ目)
株式会社変更登記申請書
1.会社法人等番号 0xxx-xx-xxxxxx
1.商 号 株式会社xxxxxxx
1.本 店 東京都xxxxx
1.登記の事由 取締役及び代表取締役の変更
1.登記すべき事項 平成xx年x月xx日 取締役 xxx xxx 重任
平成xx年xx月xx日 代表取締役 xxx xxx 重任
1.登録免許税 金 壱 萬 円
1.添付書類 証明書(株主リスト) 1通
株主総会議事録 1通
就任承諾書は株主総会の記載を援用する。
上記のとおり,登記の申請をします。
平成xx年x月xx日
申請人 東京都xxx
株式会社 xxx
代表取締役 東京都xx区xxxxxxxxxxx
xxx xxx(名前)
連絡先の電話番号 090-xxxx-xxxx
東京法務局 xx出張所 御中
(A4:2ページ目)
収入印紙貼付台紙
※収入印紙1万円分を中央に貼るだけ
※収入印紙1万円分を中央に貼るだけ
※以上、「登記申請書」はA4紙で2枚。1枚目と2枚目はホチキスで左端を3ヵ所(もしくは2ヶ所)で綴じて、会社印で契印を捺印する。代表取締の名前の右横に会社印を押す。一応、念のために登記申請書の1枚目の上部空白の部分にも捨て印として会社印を捺印しておくと、提出時にちょっとした訂正を指摘された時に、修正しやすい。
②株主総会議事録
(A4:1~2枚程度)
定時株主総会議事録
平成xx年x月xx日午前xx時00分より、当社の本店において定時株主総会を開催した。当社の株主総数 1名
発行済み株式数 xxx株
議決権を行使することができる株主の総数 1名
議決権を行使することができる株主が有する議決権の総数 xxx株
議決権を行使することができる出席株主数 1名
この議決権の総数 xxx株
出席した役員 代表取締役 xxxxxx
議事録作成者 代表取締役 xxxxxx
定刻、代表取締役 xxxxxx は議長席に着き開会を宣し、上記のとおり出席株主数及びその議決権数等を報告、本総会の付議議案の決議に必要な会社法及び定款の定める定足数を満たしている旨を述べ、直ちに議案の審議に入った。
第1号議案 決算書承認の件
議長は当期(自平成xx年xx月xx日及至平成xx年xx月xx日)における事業状況を事業報告書により詳細に説明報告し、下記の書類を提出して、その承認を求めた。
1) 貸借対照表
2) 損益計算書
3) 株主資本等変動計算書
4) 個別注記表
全員異議なくこれを承認可決した。
第2号議案 取締役任期満了に伴う改選の件
議長は、取締役が定款の規定により本定時総会の終結時に任期満了し退任することとなるので、議長は下記の者を指名し、この者につき可否を議場に諮った。
取締役 xxxxxx
全員異議なくこれを承認可決した。
なお、被選任者は、その就任を承諾した。
議長は以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、本総会は閉会した。
以上の決議を明確にするため、この議事録を作り、議長及び出席取締役がこれに記名押印する。
平成xx年xx月xx日
株式会社xxxxxx 定時株主総会
議長兼議事録作成者 兼出席代表取締役 xxxxxx
以上が②株主総会議事録、A4紙で2枚ほど。1枚目と2枚目は左端をホチキスで3ヵ所(または2ヶ所)綴じて、代取の個人の印鑑で契印をする。末尾の代取の名前の右横にも個人印を捺印。念のため、会社名の右隣にも会社印を押しておく。
③株主リスト(証明書)
この「株主リスト」(証明書)は、用紙を法務局でいただけるので、それにちょちょっと記載すればすぐに完成です。一応、法務省のほうから、書き方サンプルが公開されています。
↓サンプル
http://www.moj.go.jp/content/001214629.pdf
株主リスト(証明書)
もし上のサンプルのURLが変わってしまっていたら、
「次の対象に関する商業登記規則61条2項又は3項の株主は次のとおりであることを証明する。」とか、「(A-1 統合簡易書式)」とかで検索すれば探し出せると思います。
印紙を貼って提出(申請)
あとは当日、法務局で収入印紙(資本金1億円以下は1万円、資本金1億円を超える場合は3万円)を購入し、①登記申請書の2枚目に貼り、②と③と併せてクリップでとめて、法務局の商業登記の窓口に申請。通常、1~2週間程度以内に登記完了。補正(訂正)がある場合は、登記申請書に書いた電話まで連絡がある予定。
窓口に、
本日 登記申請したものは●月●日に完了予定。登記完了(補正の有無)の問合せ電話番号は●●
という案内(チラシ)を法務局が用意してくれているので、それに従って、登記完了予定日以降に、電話で登記完了確認をすればよし。
これらをDIYではなく、司法書士に外注した場合は、委託手数料(報酬) 3万円~ +登録免許税 等実費 がかかります。
以上はあくまで私の経験談で固有のケースではありますが、わからない点は、管轄法務局に電話で(謙虚に下手に)尋ねれば、丁寧に教えてくれる場合が多いです。
どなたかの参考になれば幸いです。