シアトルのボランティア・パークのブルース・リーのお墓参りに行った際(2003年当時)、上空を横切る水上飛行機に導かれて、てくてく歩いていくとユニオン湖にたどり着きました。
宮崎アニメみたいなユニオン湖畔
とても雰囲気がよい湖で、というか実際は海につながっている入江なのでほとんど海水のはずですが、水上飛行機が離発着していたり、ボートハウスやらガス・ワークス・パークがあったり、橋の下には巨大な怪物「トロール」がいたり・・・と、メルヘンチックな、宮崎アニメに出てきそうな光景が広がっていました。後で知ったのですが、このボートハウス群の中の1つの家は、トム・ハンクスの映画「めぐり合えたら」(Sleepless in Seattle)で、トムハンクスが住んでいた家として使われていたそうです。
カラカラ号(MV Kalakala)
そんな湖畔に沿って歩いていると、これまた不思議な、丸っこい銀色のイモムシみたいなゴースト船?らしきものが湖畔に停留していました。これまた宮崎アニメに出てきそうなその独特な風貌と朽ち具合は、かなりユニオン湖の中でも目立っており、異様でした。
周囲には人の気配はまったくなく、住宅街から少し離れた空き地に無造作に停留されており、入ろうと思えば入れるような状況でしたが、きっと誰かのプロパティーなんだろうし、老朽化で沈没でもしたら大変なので入るのは止めておきました。
カラカラ号(MV Kalakala)の軌跡
調べてみると、この船は、カラカラ号(MV Kalakala)というらしく、始めはPeralta(ペラルタ)という名前で1926年に普通の客船のデザインで運航を開始。その後、船底はそのままで、船の上部だけデザインをアールデコの丸っこいこの写真のようなデザインに変えて、1935年から1967年頃にかけて、このシアトル近郊を中心に稼働していた遊覧船のようで、シアトル界隈の住人や観光客の足として活躍していたようです。
- MV Kalakala(カラカラ遊覧船)
- https://en.wikipedia.org/wiki/MV_Kalakala
- Kalakala(カラカラ)というのは、北米原住民(インディアン)の言語で「Bird 鳥」を意味するらしいですが、真偽は定かではありません。
- 停留されていた場所(座標)47°39'08.8"N 122°19'39.7"W
※今はもうその空き地は立体駐車場ならぬ立体駐船場になってしまっています。
このカラカラ号、その後、この場所から停船場に移動させられた後、すでに2015年にスクラップ(取り壊)されてしまったとのこと。
カラカラ号の動画
- Kalakala Video・・・カラカラ号の紹介動画
https://youtu.be/dMYuvNJejL4 - 歴史 MV Kalakala - Puget Sound Navigation Company
https://youtu.be/qNFyCUcqPqc - カラカラ号が動く様子
https://youtu.be/7vhW03_ukss - Rodrigues on the Kalakala・・・カラカラ号の元オーナーが、スクラップ予定について船内で語っている動画
https://youtu.be/zCJIf2ZXojQ - Ferry Boat MV Kalakala - Final Days・・・スクラップ前のカラカラ号を上空から撮影したもの
https://youtu.be/hSdsweha9iM - Kalakala Demolition January 31, 2015・・・カラカラ船の取り壊し(スクラップ)の様子https://youtu.be/CUgwzzeOIHM
動画がたくさん残されていることから、人々に愛されていたことがわかります。
上の動画にもありますが、船内の一部は広いホールのようになっていて、そこでダンスパーティーやコンサートなども乗船中に開かれていたようで、とても優雅な感じが伝わってきます。
船をリノベーションして、レストランなどとして活用してもおもしろそうですが、やはり老朽化には勝てなかったようです。
現役の稼働時に出遭えていればよかったのですが、それでもこんなユニークな船の晩年に遭遇でき、雄姿を拝めたことは、とてもラッキーでした。