最近あちらこちらで上図のようなダイヤル式のキーセイフティボックス(キーボックス、鍵収納ボックス)が、玄関のドアノブや屋外などにぶら下がっているのを見かけます。
例えば中小の飲食店の店舗や会社のオフィスの出入口の鍵、民泊に使われているマンションなどの部屋の鍵を利用者でシェアする際などに、ドアの近くによくぶら下げられています。
しかし このキーセイフティボックスなどダイヤル式ロックは簡単に開けられてしまう(簡単に暗証番号を知ることができてしまう)ので注意が必要です。
ダイヤル式ロックの暗証番号を知る方法1
ダイヤル式の鍵は、物理的に破壊する方法もありますが(後述)、労せずして暗証番号を知る方法として「日々の観察」(人間の特性を利用する方法)があります。少し時間はかかってしまいますが、その方法は以下の通りです。
暗証番号を観察(リサーチ)し導き出す
- キーボックスのダイヤルの数字を記録(写真で撮る/またはメモる)
- 数時間後~翌日等、誰かが使ったあとに、またダイヤルの数字を記録する
- その記録を繰り返す
- 記録したもの紙に書き出すなどして見比べる(下図)
- そうすると、例えばダイヤル4ケタのうち、同じ番号になっている回があったりするので、1つずつ、番号を特定していくことができます(下図)
早ければ2,3回程度の観察(記録)だけで、暗証番号を知ることができます。
なぜなら、人は、ロックする際「ダイヤル式の番号をあまり大きくはまわさない」という癖があるからです。また、同一人物が複数回使った場合、まったく同じ番号しかまわさないことも多いです。
例えば4ケタのうち、(面倒なので)上2つしかまわさなかったり、毎回、特定の個所の番号だけしかまわさないことが多いです。
- 複数回にわたって同じ番号(共通する数字)になっている
- またはその近く(前後)の番号が正解の番号である
最終的には、4ケタのダイヤル式のうち、3つの番号(3ケタ)だけでも特定できたら、残りの1ケタは適当に0~9の数字をまわしていけば解除することができます。
これは自転車など、すべてのダイヤル式のロックに言えることで、簡単に番号が他人にバレてしまいます。
対策
上記の対策としては、- 毎回、使用後はすべて「0000」または常にすべての数字をアットランダムな番号に設定し直すか
- リセットボタンが付いている鍵を使い、毎回使用後はリセットボタンを押すのを忘れないようにする(→リセットボタンを押せば「0000」などの数字にリセットされます)
などの対策を講じる必要があります。ただ、複数人でダイヤル式ロックをシェアした場合、この対策がなかなか徹底されないため、利用人数(利用回数)が多いほど、簡単に暗証番号がバレてしまう可能性が高くなります。
ダイヤル式ロックの暗証番号を知る方法2
上記以外の方法もあります。その1つが、シャックル(上部のツル・・・銀色の部分)を引っ張りながらダイヤルを1つずつ端から回していく
という方法です。 上の部分を強く引っ張りながら、一方でダイヤルを1段ずつゆっくりとまわしていくと、感触や音が1つだけ違うところがあるのでそれが暗証番号の1つです。一番下(端・・・シャックルから一番遠いダイヤル)の段からやっていくとよいようです。但し、この方法だと集中できる環境が必要となることと、鍵によっては、または人によってはその感触がよくわからない場合がある、という欠点があります。
開けやすい郵便受け(ポスト)のダイヤル
ダイヤル式の鍵にもいろいろなタイプがありますが、開けやすい錠前の代表格なのが、このマンションやアパート、オフィスビルでよく見かける左右にダイヤルを回して開けるタイプの郵便受けです。 なぜならこのタイプは、2つだけ番号が分かれば開けることができるからです。番号が2つだけ、ということはつまり、
[0~9までの数字10個]×[0~9までの数字10個]=10×10=100通り しか組み合わせがない、
ということになるので、まったく番号を知らなかったとしても、100通りを手あたり次第ゼロから順番に当たっていけば開けることができる、ということになります。
ダイヤル式郵便受けの開け方
この郵便受けのダイヤルは、基本的に同じ番号を右に2回まわして、最後に違う番号を左に1回まわすことで開けるような仕組みになっています。最初の2つは同じ番号です。3つ目の番号だけ違います。つまりロック解除の暗証番号の数字は2つしかない、ということになります。例えば、「3-3-8」が開錠の暗証番号だったとしたら、
- まず1回「3」を通過する形で右にまわす(「3」からスタートして時計回りにまわす)
- 次に「3」になったところで、折り返す(左回り/半時計周りに変える)
- 「8」になったところで止めれば、開けることができます。
つまり、「3」と「8」の2種類の数字がわかるだけで開いてしまう、ということです。
「4-4-9」の場合も、同じように 「4から始めて→右に4→左へ9」で開けることができます。
1回のトライアル(試行)に5秒程度しかかかりませんので、まったく番号を知らなかったとしても、「0→0→1」から当てずっぽうに初めて、「0→0→2」「0→0→3」・・・と試していっても最大で10×10=100通り しかないので、5秒×100通り=500秒(8分20秒程度)以内で開ける(暗証番号を知る)ことができます。実際は100通り試さなくてもその途中でビンゴ(当たり)に遭遇しますので、開錠まで5分もかからないことが多いでしょう。
対策
対策としては、- 郵便受けには貴重品を入れないこと。
- 配達物が届いたらなるべくすぐに回収すること、
- 郵便受けに防犯カメラを設置しておくこと
ぐらいしかありません。と言いますのも、結局、郵便受けというのは郵便受けの入れ口から指などを差し入れて、中の郵便物を取ることができるからです。特に細長い指の人にとっては簡単です。
よって郵便受けには万全のセキュリティはないので、上記を対策を講じるぐらいしかありません。
その他 物理的に破壊する開け方
上記は破壊しないで(暗証番号を調べて)ロックを解除する方法ですが、もちろん、物理的に破壊する方法も無数にあります。 例えば、- スパナを2つ使ってテコの原理で上のツル(シャックル)の部分を破壊する(→但しこれは小型の鍵でないと使えない)
- アルミ缶のアルミを特定の形に整えて、差し込んで開ける
- ツル(シャックル)を引っ張りながら、鍵本体の側面を叩いて、鍵(溝)が止まっている部分を物理的に破壊していく
https://www.kagi110qq.co.jp/security/column54.html
などに無数にアップされています。
要は、鍵やダイヤル式ロックの過信は危険なので、100円で窓やドアに警報機を付ける方法(泥棒との攻防)などの2番手、3番手のセキュリティを講じておく必要がある、ということです。
以上、セキュリティ関連で、この情報がどなたかのお役に立てば幸いです。