全国でフードデリバリー・配達員とのトラブル・事故・事件などが相次いでいますが、
ウーバー配達員を書類送検 自転車で男性はね逃走の疑い
「ウーバーイーツ」の配達中に歩行者をひき逃げした疑いで、ベトナム人の男が書類送検された。ベトナム人の男は2021年9月、東京・杉並区で、「ウーバーイーツ」の配達中に横断歩道を渡っていた男性を自転車ではねて重傷を負わせ、逃走した疑いが持たれている。男は赤信号で止まらず、男性とぶつかったという。
https://www.youtube.com/watch?v=lR2IGxDB-5o
先日、私も自転車に乗っている際、ウーバー配達員のバイクにはねられてしまいました。世間には全く報じられていない、小さな交通事故ですが、その時の体験談です。
事故詳細
事故の状況をざっくりまとめると、以下のような図になります。- 時刻:夜22:00頃(そのため、駅からの下り車線はタクシーだらけだった)
- 場所:メインの道路(片側一車線)と、小さな道路が交差する信号のない交差点
- メイン道路両端の信号は赤で、タクシーが詰まった状態で連なっていた
- 自転車に乗った私は、細い方の道路から出てきて、大きい方の道路を横断しようとしました。
- タクシーが赤信号で、ずっと停車しており、動きがなかったので、道をふさぐようにして停車しているタクシーの間を横断することにしました。
- タクシー間をすり抜ける際、もちろん、こちらもスピードを落とし、タクシーの死角から何か来ないか注意はしていましたが・・・
- 側道(普通自転車専用通行帯)タクシー左側をすり抜けて追い越してきた原付バイクに自転車ごとはねられてしまいました。
- 自転車の真横(ちょうど自転車の真ん中あたり)フレームをバイクではねられ、私は1mほど飛ばされ、尻もちと両手をつく形で着地。バイクの前輪で、自転車のフレーム真ん中下を突き上げられた形です。
幸運
私が横断時、タクシー間をすり抜ける際、徐行するために少し腰を浮かせて立ちこぎ(立ち止まり走行)のような姿勢になっていたのが幸いしました。それによって、体が少し後方にあったので、突っ込んできたバイクが自転車の本体フレームに当たり、私の体に直接当たらなかったことで、大きな怪我を負わずに済みました。被害状況
こちら側の負傷状況はほとんどなく、- 右足くるぶし内側の打撲と擦り傷(バイクに当たった自転車本体の前ギア部分が右足くるぶしに当たった)
- 左腕外側に少し打撲と擦り傷(バイク本体上部がかすめた)
- 飛ばされて尻もち着く際に、両腕で体を支えたので、両肩の若干の鈍痛と全身の倦怠感(翌日に判明)
程度でした。
自転車のほうの損傷は、
- フロントディレイラー(前変速機)の位置がズレた(おそらく右足くるぶしの傷はここに当たったことが原因)
- 自転車本体の三角フレーム下部に、傷とタイヤ痕(ここにバイクの前輪が当たった)
- チェーンが外れた
程度でした。一番太くて頑丈な本体フレームにバイクが当たったことが、損傷を少なくしたものと思われます。
ぶつかってきたバイク(原付スクーター)のほうの損傷は、
- バイク前面に付いていたメッシュの前カゴがゆがんだ
- 上部ハンドル部分のカバー・パーツが少しぐらついている?
程度だった模様で、バイク運転手にはケガはありませんでした。
事後処理
冒頭の「ウーバー配達員ひき逃げ」の事件と違って、私をはねたバイクの運転手の男性(おそらく20歳台)は、逃げることもなく、物腰も柔らかで、誠実な感じだったので、事後処理もスムーズに進みました。一応、警察に通報し、近くの交番から自転車で警察官が2名きて、簡単な現場検証と聞き取りを30分程度おこなって、あとは事故当事者のお互いの連絡先を交換してその場は終了。
私も自転車保険に入っていたので、「あとは保険会社同士でやりとりしましょう。」ということになりました。
原因
原因は、私の道路(交差点)の横断もありますが、過失割合として一番大きなものは、- バイクの左からの追い越し
- バイクが「普通自転車専用通行帯」を走っていたこと
- 側道すり抜け追い越しで徐行すべきところ、バイクのスピードが出ていたこと
が挙げられます。
1.バイクの左からの追い越しは微妙
例えば、左側からすり抜ける行為は、道路交通法違反第28条で、「他の車両を追い越そうとするときは、前車の右側を通行しなければならない」と定められており、クルマの左側からの追い越し行為は違反にあたり、違反点数2点と反則金(二輪車7000円・原付6000円)が科されます。
実際に交通違反を取り締まる警察官は、バイクのすり抜け行為について、以下のように話します。
「すり抜け行為は道路交通法で、追い抜き行為と判断され、それ自体は違反ではありません。 しかし、すり抜けによって起こりうる道路交通法違反はたくさんあり、バイクのすり抜けが原因の事故もたくさん起きています。危険な行為であることが明らかで、少しでも危ないと感じたら絶対にやめてほしいです」
https://kuruma-news.jp/post/409617
2.「普通自転車専用通行帯」をバイクが走行するのは違反
「普通自転車専用通行帯」を原付などのバイクが走行しているのを目にします。信号待ちでクルマが停止状態であったとして、バイクが「普通自転車専用通行帯」上を走行し、列の先頭に出た場合はどうなりますか。
繰り返しになりますが「普通自転車専用通行帯」は、道路交通法第20条2項に基づき、道路標識等によって普通自転車が通行しなければならない車両通行帯として定められています。そのため、同条第3項に規定されている場合を除き、「普通自転車専用通行帯」を原動機付き自転車や自動二輪車が通行した場合は、道路交通法第20条第2項違反が成立します。
https://kuruma-news.jp/post/119454
今回の事故は、「普通自転車専用通行帯」を示す、青いライン(矢印上)で発生しました。
3.バイクのスピード出し過ぎ
バイクがスピードをけっこう出していたことも事故の原因といえます。本来、赤信号で停車している車の列を側道から追い抜く際、少なくとも徐行運転をしなければいけません。車の影からの飛び出しや、車のドアが開いたりするためです。「徐行」とは道路交通法第2条第20号において、「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう」と定められています。
徐行とは「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行すること」と道路交通法で定められています。徐行の具体的な速度は明記されていませんが、おおよそ10km/h以下かつ1m以内で停止できる速度が徐行速度と周知されています。
https://www.ins-saison.co.jp/otona/oshiete/car/slowdown.html
私の自転車の本体が「普通自転車専用通行帯」に入った(バイクから見てタクシーの影から飛び出した)時、自転車とバイクの距離は、タクシー1台分はありました。そのタクシーはトヨタのJPN TAXI(ジャパンタクシー)なので、全長は約4.4mあります。
つまり4.4mでも止まれない速度でバイクは走っていたことになります。
バイクの運転手は警察官に「30km/hぐらいだった。」と言っていましたが、私の感覚では、おそらく40km/h近くは出ていたと感じています。自転車ではなかなか体感しない、すごい速度で光(バイクのフロントライト)が突っ込んで来たのを覚えています。これまでン十年以上も自転車歴があり、このような第三者を巻き込んだ事故に遭遇したことはなく、ふつうなら避けれたはずなのですが、私が避けれなかった、ということは、けっこうな速度だった、と確信しています。
警察官も、バイクのフロントのカゴの凹みを見て、「これだけへしゃげてるってことは、スピード出てたんじゃないの?」とは質問していました。
バイクの後方には、例のウーバーの配達用の黒い四角のリュック・バッグが積まれており、事故後、「ピックアップに行けなくなった」旨、電話で話していたので、デリバリー商品を店にピックアップに行くために急いでいたことがうかがえます。
ちなみにこの事故現場の道路は、速度制限が40km/hですが、排気量50cc以下の原付スクーターは、法定最高速度が30km/hとなっています。
事故で学んだこと
結局、あとは双方が加入している保険屋さん同士でやりとりしてもらったのですが、こちらのケガや自転車の破損もたいしたことなかったことと、相手方(バイク側)の破損等もたいしたことなかったことから、お互い損害請求額はゼロ、ということで本件は何もせずに終了、となりました。何もなく終わったのも、(当たり前のことではありますが)逃げずに現場で事故対応されたウーバー配達員の誠実な姿勢があったことも一因です。これがひき逃げだったら、本来、平穏に終わったはずの事故も、事件化してしまいます。
ウーバーなどデリバリー配達員は完全出来高制で、配達してナンボ、1件こなしてナンボのかわいそうな世界なので、こちら側も必要以上に荒立てる気はまったく起きませんでした。
今回の事故で学んだことは、
- 最近のタクシー(トヨタのジャパンタクシー・タイプ)は車高が高いので、車間距離なく連なって停車している場合、かなりの壁を作り、バイクさえも隠れてしまうので要注意。
- 自転車保険に入っていてよかった。結局、今回は保険料請求など発生せずに帰結しましたが、事故後は保険屋同士が話してくれたほうが話が早いし楽です。私はau損保の自転車向け保険Bycleに入っていますが、以前、自転車で下顎骨折した自損事故を起こした時も、保険加入のありがたみを経験しました。自転車保険は安いので加入しておくに越したことはありません。自転車事故以外でも補償があります。
- 体を鍛えていてよかった。スポーツジムで日々筋トレしていますが、「体を鍛えていてよかった」と実感することばかりです。特に事故の際は両腕で体を支えるプッシュアップ的な筋肉を鍛えておくことはとても有効で、ケガの重症化を防いでくれます。体を鍛えておくことが、一番の「保険」です。
- 長年の自転車運転歴に慢心せず、より一層の注意が必要、と改めて認識しました。
でした。
日々、世界各地で事件・事故が起こり、多くの命が、この一瞬、一瞬にも失われていっていますが、人間、生死は表裏一体、運がいい人だけがたまたま生き残り続けているのだ・・・ということを改めて実感しました。