カナダの家の半地下に住んだ感想

2019/08/20

カナダ

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カナダの典型的な家といえば、「半地下」というイメージがあります。


半地下(Basement Apartment)とは、半分地中に埋まったフロアのことを言います。上下の写真の点線で囲った部分に半地下の部屋はあります。


カナダでも木造二階建て(+屋根裏部屋)が一般的ですが、木造二階建てでも、半地下があるので、実質3フロア(+屋根裏部屋で4フロア)あることになります。

半地下ルームがある理由


なぜ半地下があるかと言えば、一番の理由は「カナダの寒さ」らしいです。

カナダは冬は多くの地域でマイナス40度とかになります。そうなると普通に地表近くに家屋の土台を作ると、土台がバッキバキに凍ってしまって土台もろとも崩壊してしまうそうです。

それを避けるために、さらにワンフロア分くらい地面を掘り下げて、凍らない地中深くに土台を作って、その上に家を建てる。その地中部分の空間を半地下として、上のメイン住居(1階・2階~)と、地中凍土との緩衝材的な空間として利用している、らしいです。

その空間ももったいないので、通常、半地下は、
  • ボイラー室として使う
  • 物置として使う
  • ランドリールームとして洗濯機や乾燥機を置いている
  • ふつうに住めるようにして人が住む、または賃貸やホームステイとして貸し出す
といった用途で使われることが多いようです。

半地下に住んでみた感想


ということで、半地下が安かったのと、物珍しさと、ほのかな憧れとで、私は数ヶ月程度ですが、カナダの半地下(ワンルーム)に住んでみたことがあります。

感想は・・・結論から言うと、「短期間住んでみれば十分(長期間は住みたくない)」でした。

その理由は以下の通り。

  • 虫が天井からボトボト落ちてくる(天井が虫の本拠地・地表と同じ高さ)
  • 上からのぞかれる(丸見え。特に夜、室内の灯りを点けカーテン閉め忘れると最悪。)
  • 換気が比較的悪く、特有な臭い(カビや古い家屋臭)がすることがある
  • 大雨や雪、水漏れなどで水浸しになることがある
  • 上のフロアに幼い子どもがいると、天井からの足音などがうるさい(地下で回りが地面だけに余計に響く)

虫が天井から落ちてくる

カナダは寒そうに思うかもしれませんが、東部でさえも夏は40度近くまでなることもあり、カナダは虫が多いです。短い夏を謳歌しようと一気にいろんな虫が大量発生します。

私は半地下で夜、テレビを観ていたら、突然、室内でボトッとそれなりの音がしたので何かと思ってその音のほうをみたら、お腹だけでも3cmくらいあり、全体で7~10cmくらいのタランチュラみたいな真っ黒なクモが天井から落ちてきていて、気絶しそうになりました。
その後もカマドウマみたいなものとか落ちてきたり、室内でボトッと独特な音がするたびに、憂鬱になったものです。あの音はもう聞きたくありません。

カナダは古い家屋が多く、築60年~100年とかザラです。どこかしら虫が入り込んでくる隙間があるようです。
壁とか柱とかDIYでペンキが何重にも塗られていて、ペンキが剥がれたところから、ペンキが地層のように重なっているのが見えて、この下の色のペンキは何十年前にどんな人が塗ったんだろう・・・と歴史に思いを馳せることもありました。

トロントのダウンタウンでさえこんな感じなので、ローカルだともっとすごいのではないでしょうか。

上からのぞかれる(不審者)

あと、昼間ふと気配を感じ、窓から外を見上げたら(半地下なので、窓は天井付近になり、地中から地表部分を見上げるような形になる)、人の足~ひざ下が見えて、ドキッとしたことがあります。こちらがわざと大きな音をたてて窓のほうに近づいていったら、その「足」(不審者)は急いで逃げていきました。

通りのほうに逃げていく後ろ姿を見たら、20歳代の若い白人のニーチャンでした。

あと通りに面した家の半地下の場合、酔っ払いが立ッションした場所に、半地下の窓があったりすると最悪なことになります。

換気が悪くカビ臭い

そんなこともあり、あまり窓を開けて換気もするわけにもいかず、しかし半地下の一室なので、基本、窓は一ヵ所しかありません。

部屋はそうでもないのですが、トイレやシャワー室など水回り系は、やはりカビ臭く、また古い家屋ということもあり、特有の臭いがあります。

しかし、半地下につき、換気できる窓は限られており、冬はその窓も雪で覆われてしまい、空調頼みだけとなってしまいます。空間的のみならず、空気の滞留的な圧迫感が半端ないです。

天候に弱い(大雨や雪)

前述の雪に窓が覆われてしまう点に加えて、大雨の際に、浸水してくることもあります。私の住んでいた部屋自体は浸水を経験したことはありませんが、廊下の一部が時々雨で雨漏りが発生していました。

雨が降ると窓を開けられない、雪で窓が覆われれる・・・ということの圧迫感もあります。

上の階の音の逃げ場がない

半地下の上の階に大人数が住んでいたり、幼い子どもがいると、天井越しに伝わってくる足音が反響し、うるさいです。地下ということで、まわりが地面なので、音の逃げ場がないため、普通の階下よりも音が余計に響きます。

そもそも外の景色が楽しめないというのは、精神衛生上もよくない気がします。


以上のような理由から、元々短期間の入居予定ではありましたが、「半地下生活は短期で十分」という感じでした。

おそらく半地下が珍しく、カナダ的でもあるので、憧れて住んでみたい方もいらっしゃると思いますが、1,2ヶ月程度以内の短期間ならよいと思いますが、長期の半地下滞在はあまりお勧めではありません。
もちろん、その家屋の作りや手入れ具合、周辺環境などにもよるので、すべての半地下がそうとは限りませんが・・・

住むならやはり、上のほうの階ですね。

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