墓じまいから粉骨・海洋散骨した理由

2021/04/25

日本

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「地球がお墓」という考え方
墓じまいから海洋散骨

先日、某地方都市にある父方の先祖のお墓を、遠隔で墓じまいから粉骨、海洋散骨までおこなった体験談です。総額費用は27万円台でした。

尚、自分が墓じまいしたお墓の概要は以下の通りです。
  • 墓石解体処分数:1
  • 墓石解体面積:1㎡
  • 埋蔵骨壺数:5
  • 最古の埋蔵骨壺:明治32年(1899年)~
  • お墓の所在地:地方都市の市設霊園

墓じまいから海洋散骨までおこなった理由

なぜ墓じまいから粉骨、海洋散骨までおこなったかというと、理由は以下の通りです。

  1. 墓は高い確率で無縁仏になる
  2. 次の代まで引き継ぐと負担が大きくなる
  3. 毎年お墓の維持手数料が発生している
  4. 知らない先祖のお骨も入っており、遠方ということもあり、かなり疎遠なお墓だった
  5. 墓石内の環境はお世辞にも良いとは言えない
  6. 「海洋散骨」まで決まっていればお骨を取り出しやすい
  7. 特別定額給付金(10万円)が入ったので

1.墓は高い確率で無縁仏になる

まず上記1に関してですが、よほどの著名人で、代々の子孫を潤すほど遺産を相続できるような人は、子孫もお墓のケアをし続けてくれるかもしれませんが、一般人の場合、これだけ少子高齢化が進むと、1-2世代以内にほぼ100%、墓は途絶え、無縁仏になります。文字通り、お墓は「無用の長物」となります。

実際、ほとんどの人が、せいぜい1-2世代上の先祖くらいまでしか、墓の所在を把握していないのではないでしょうか。

韓国で、日本人の墓石が道路や壁に敷かれていたりと、かなりいい加減な扱いをされているのを見かけたこともあります。

無縁仏になって廃れるなり、どこかの誰かにぞんざいに扱われるよりかは、子孫である自分が責任をもって処理したほうが、まだマシだろう、との考えからです。

2.次の代まで引き継ぐと負担が大きくなる

2については、うちの親はそこまで決断力というか実行力がないので、他の親族含め「毎年あのお墓をなんとかせねば」と言いつつも、もう何十年も放置してきたという経緯があります。

引き継いだ自分にとっても、お墓の維持費や処理代は決して安いものではありませんし、今後の物価高騰や税金高騰などを考えると、少子高齢化で親族も少ない次の代に引き継いてしまうと、さらに相当な負担になることが目に見えています。
少子高齢化とお墓

墓じまいやお墓の移転にかかる費用は、墓石内に納められている骨壺の数によっても変わってきます(骨壺数に応じて費用が割り増しになる)。お墓をまとめたり引き継ぎ続けて代々の骨壺数が加算し続けると、子孫が負担するものも「雪だるま式」に大きくなっていきます。

先祖のお墓があることで、次世代を精神的・経済的・行動的にも制限してしまう可能性が出てきます。

よって、ここはスパッと自分の代で止めてしまおうと決心しました。

3.毎年お墓の維持手数料が発生している

3については、毎年13000円ほどの「お花代」名目のお墓維持手数料が発生しており、それを年々加算していくとバカにならない費用でもあります。

市営の霊園等ではない、お寺などにお墓がある場合、もっと維持費がかかっていることでしょう。

また、そもそも何年も墓参りに行っていない時点で、すでに無礼であることには変わりないので、ここでうやむやな責任逃れの「現状維持」はスパッと止めることにしました。観念的な責任は自分が取ればよいだけですし、そもそも自分は観念論者ではありません。

4.知らない先祖のお骨も入っており、遠方ということもあり、かなり疎遠なお墓だった

4については、かろうじて祖母にのみ、幼少期に会ったことはあるのですが、それ以外の遺骨に関しては、明治と大正時代の、知らないご先祖のもので、遠方ということもあり、何十年にもわたって疎遠だった、という状況です。私や親が訪れたのも30年ほど前に一度きりです。
前述の通り、墓参りしていない時点でこのまま維持し続けても無礼であることに変わりはないので、決断しました。

5.墓石内の環境はお世辞にも良いとは言えない

5については、個人的には、墓石内の環境というのはお世辞には良いとは思えません。夏は暑く、冬は寒い環境です。実際、今回墓石を開けてみたところ、雨水等で水に骨壺が浸かっており、カビや泥にまみれていました。また、骨壺も狭い空間に乱雑に重なりあっている、という状況で、解放してあげて正解だった、と今、実感しています。

お墓の中に詰め込めばOK、というのは、エゴ・自己満足というか、ただの責任の先送りのような気もします。

お墓によっては、度重なる地震や年々厳しくなる暴風雨によって、内部で骨壺が倒壊していたり、かなりヒドイ状態になっていることもあるようです。今後は、お墓という形態は、日本の気候や日本人の社会生活にそぐわないものになってくるように感じてなりません。

人間、元々地球上にあるものを「お借りして」体を形成します。亡くなり焼却した時点でほとんどを自然界に「お返し」しますが、骨だけ延々と自然界から隔離し続けるのは、よくよく考えればおかしな話です。お借りしたカルシウム(骨)も自然界にお返ししたほうが、地球に存在しているモノとして正常のように感じます。「地球がお墓」という概念でとらえると良いでしょう。

6.「海洋散骨」まで決まっていればお骨を取り出しやすい

当初は、
  1. お墓だけ業者に解体・撤去してもらって
  2. 自分で骨壺を引き取りにいって
  3. 自分で粉骨して
  4. 自分で違法にならない(公序良俗に反しない)場所に散骨する
というプランを考えていました。

【個人で墓じまい→粉骨→散骨する場合のポイント】

  • 散骨は墓から墓への移動という改葬の定義に該当しないので「改葬許可証」は不要。
  • 墓から遺骨を取り出す目的は「手元供養」とし、改葬先は「自宅」とすればOK。(自治体にもよる)
  • 「手元供養」(自宅保管)までたどり着ければ、あとは個人の自由。散骨は粉末状(パウダー状)にして他人不快感を与えない/迷惑をかけない場所で行えばOK。

しかし、相談がてら、これまでお墓の維持管理を委託していた業者さんに、「散骨」という単語を言っただけで、どうもあまりいい反応を示しません。「散骨なら引き渡せない」的な遠回しに渋い反応を示します。墓が無くなれば儲けがなくなる(維持管理費がもらえなくなる)というのもあるのでしょう。提携(癒着)している業者さんもあるのかもしれません。素人がやろうとすると随所でたらい回しされそうな気配を早々に感じました。

ただ、「海洋散骨」というゴールまで明確に決まっていれば、話は早いようにも感じました。そこでケチって個人で粉骨→散骨することはあきらめ、海洋散骨までワンストップでやってくれる業者さんに外注することにしました。結果的には経済的にも時間的にも、とてもすんなりいったので外注して正解でした。

そもそも自分で粉骨する場合、自分で「それなりの」ミキサーをそのためだけに購入して、大量にある骨を轟音を立てながら自分で粉末状にする、という過程が、冷静に考えればグロテスクでもあり、効率もよくないように感じます。現実的な手間暇を考えても、外注してよかったと思います。

7.特別定額給付金(10万円)が入ったので

6については、これは最後の一押しというだけですが、新型コロナウィルスの特別定額給付金で10万円が入ったので、(遊興費ではなく)「何か有効に使いたい」との思いで、墓じまいに使うことにしました。コロナ禍で移動も制限されているため、専門業者に委託することで、在宅のまま遠隔ですべてできる、ということも考慮した点です。

以上のような理由ときっかけにより、遠方にあるお墓を遠隔で墓じまい~海洋散骨にすることにしました。

→続きはこちら27万円で墓じまいと海洋散骨した体験談にて、後編としてその流れを時系列に記していきます。

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