前述の墓じまいから粉骨・海洋散骨した理由ときっかけにより、遠方にあるお墓を遠隔で墓じまい~海洋散骨にすることにしました。具体的な手続きの流れを以下に時系列で記します。
墓じまい~海洋散骨 の流れ(時系列)
9月:情報収集と業者の選別
毎年12月に「お花代」名目のお墓の維持手数料の請求書が来るので、できれば年末までに墓じまいをしたい、ということで、猛暑も落ち着いてきた時期を見越して、9月に動き始めました。対象の墓石数は1(埋蔵骨壺数5つ)なので、予算はできれば30万円台、いっても50万円以内を考えていました。最初はできるだけ自分で粉骨して散骨する方向で模索していましたが、コロナ禍ということもあり、専門業者にすべてお任せすることにしました。
業者はインターネットで検索し、お墓のある該当地方都市の墓じまいに対応していただける会社を4件ほどピックアップし、無料見積を依頼しました。
見積依頼の流れ
- 業者のホームページから見積依頼フォームを送信する/または電話で依頼する
- 折り返し電話がかかってくるので、状況や希望などを伝える
- 業者が現場(墓)を確認し、見積りするのに1週間ほどかかる(業者によっては、墓全体と周囲が写った写真があれば、その写真だけで見積を出してくれるところもあります。この場合、翌営業日には見積りの返信があります。)
- 見積書がEメールまたは郵便/FAX等、希望の受け取り方法で来る
お墓の写真がない場合は、A社に無料見積を依頼すると、A社が現場に出向いて写真を撮って来てくれて、写真と見積を送信してくれるので、その写真をB社、C社の見積依頼で提出する、という裏技的利用方法があります。
以上の流れで4件の見積を取り寄せたところ、4件ともバラバラな金額でした。
それぞれ特徴がありましたが、例えば「スマホで簡単 墓じまい」的なことを謳って大宣伝しているところは、実際は電話のやりとりなど結構めんどくさく、その会社が運営/提携するお寺に永代供養しないと受け付けない、などビジネス臭プンプンで、見積金額もぼったくりとまでは言わないまでも結構な額になっていました。
広告に芸能人を使っているところや、ネットで頻繁に広告が登場するところは、広告費にお金を使っているので、やはり費用も高くなるようです。
一方、長年、お花代名目でお墓の維持管理をお願いしていた会社は、やはり古いだけあって、その会社のホームページさえも存在せず、こちらの希望ではなく、古くからの「なぁなぁ」な慣習を押し付けてくるような感じで、見積費用も昔ながらのお値段で墓石解体・撤去だけで35万円を超えてくる感じ(以下の会社の2倍くらいの額)だったので、ここも却下することにしました。
10月:業者の決定
各社にいろいろ問合せながらも、自分としては「墓という形を無くしたい」「お寺など曖昧で観念的なこととは縁を切りたい」という絶対的な目標があったので、永代供養必須のそこの会社や古くからのルーティンを押し付けてくる会社は却下することにしました。業者を選んだポイント
一応、親族にも了承を取った上で、最終的には- 商業的すぎるホームページではなく、担当者が自分の言葉でしっかり語り、WORDPRESSで自作?ながらも、しっかりウェブサイトを作っている点
- 行政手続き→墓石解体・撤収→粉骨→海洋散骨までワンストップでやってくれる点
- 海洋散骨についての情報記載量が多かった点
11月:正式に依頼
1社に絞り、そこにまずはEメールで、「墓じまい(~海洋散骨)」の正式に依頼する旨を伝えました。折り返し確認の電話がかかってきて、1~2週間中に、市設霊園(市役所)から取り寄せた墓じまいに必要な書類一式を郵送する、ということで、それを待つことになりました。
その際の電話では、
- 「霊園使用許可証(原本)」は手元にあるか?
- 墓主の印鑑登録証明が必要になるので用意しておくように。
- 還付金が数円程度発生するがどうするか(→放棄すると返答)
- お墓の解体の際、お坊さんを呼ぶか?(→呼ばない、と回答)
- お墓の墓地内の地図あるか
お役所に書類の発送などを依頼すると、担当者が失念していつまで経っても書類が届かない、ということがあるようです。1週間経ってもお役所から郵送書類が届かない場合は、すぐに催促したほうがよいでしょう。
2週間ほど経って業者から郵送物が届き、以下の書類を取り揃えて返送することになりました。
必要書類
- 墓じまい申込チェックリスト
- 墓じまい申込書(同意書)
- 海洋散骨申込書(同意書)
- 引渡申し出理由書(→霊園提出)
- 霊園返還届(→霊園提出)
- 遺骨引渡書(→霊園提出)
- 霊園臨時使用許可申請書(→霊園提出)
- 霊園内工事着手届(→霊園提出)
- 委任状(→霊園提出)
- 印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内のもの)(→霊園提出)
- 霊園使用許可証原本(→霊園提出)
- 本人確認書類(健康保険証/運転免許証/住民票/戸籍謄本など。いずれもコピーで可)
届いた書類のどこに何を書けばいいのかは、鉛筆で指示が書かれているので、その指示に従って、自分/墓主の住所や氏名を記入、実印の捺印をしていけばよいだけです。「霊園臨時使用許可申請書」の裏面には簡易的な地図を描く必要があるので、お墓を地図として位置関係を把握しておく必要はあります。お墓(霊園)契約時に墓地内の地図をもらっていれば、その地図を提出すれば、業者さんが地図を描いてくれます。
11月中旬~下旬にかけて書類をとりそろえ、業者さんに返送しました。
12月:墓所返還工事完了
それから2週間ほど経った12月上旬に墓所返還工事(お墓の撤去、骨壺取り出し)がおこなわれ、まずEメールでの報告と写真3枚(着工前のお墓、墓石内の骨壺の状況、撤去後のさら地の写真)の送付がありました。墓石内は、泥水の中に骨壺が半分埋まっているような状況で、墓石から解放してあげてよかった、と感じました。おって、以下の書類が郵送で届きました。
- 墓所返還・解体工事完了報告書(お墓のビフォーアフター/さら地写真付き)
- 請求書
- アンケート+返信用封筒
墓地が山奥やうるさいお寺さん内などではなく、アクセスしやすい市設霊園だったので、スムーズに事は進んだようです。
【記録と実際の骨壺数が違うことがある】
「霊園使用許可証」の記載記録では、埋蔵数(骨壺数)は5つ(5名分)となっていたのですが、実際、墓石を開けてみると3つしか入っていませんでした。カロート内を探しても、骨壺3つ以外にはなく、直接地中に撒かれているものもなかった、ということで、処理費用は当初の5から3体分で済むことになりました。
戦争等々の複雑な諸事情で、骨はないけど書面上は埋葬されていることになっているか、子どもなど1つの骨壺に複数人分が一緒に入っていることもあるようです。
依頼当初の見積もりは37万円程だったのですが、骨壺数が少なかったことから、最終的には総額(墓じまい~粉骨~海洋散骨)で27万円ほどで済むことになりました。
早速、請求書にそって、費用全額を振込しました。
この際、「海洋散骨は1~2月を予定しており、終了したら散骨証明書を送付します。」との案内もあったので、次は海洋散骨完了の報告を待つことになります。
2月上旬:海洋散骨
おそらく12月~1月の間に取り出した遺骨を粉骨した模様です。2月上旬に以下の書類が郵送で届きました。
- 海洋散骨完了のお知らせ
- 散骨風景の写真(名前が書かれ粉骨が入った袋と花びらを海に撒く写真など)
- 散骨証明書(散骨された人の氏名、日時、海上の緯度経度などが記載された賞状のようなもの)
まとめ(墓じまい~海洋散骨を経験して)
以上の通り、9月に「墓じまい&粉骨&海洋散骨」について調べ始めて、11月に業者に委託、12月にお墓を撤去、翌年2月初めには海洋散骨まで執り行った6ヶ月の記録でした。かかった総費用は27万円ほどで済みました。終わってみての感想は、「とてもスッキリした。」というものです。
安く済んだ理由
自分の場合、墓地の場所が市営の霊園かつお墓自体も小さいサイズだったのがラッキーでした。これが寺院内にあるお墓だと、(お坊さんにもよりますが)途端に「お布施」といったブラックボックスに話は突入してしまい、さらには様々な「儀式」が追加されるか、「散骨は許さない」やら「墓じまいの作法」云々のトラブル多発、まったく墓主の思うようには行かなかったと思います。お寺内にあるお墓の場合、お布施等「気持ち(観念)」的なものが重く圧し掛かってくるので、通常はお墓の撤去だけでも50万円~100万円近くはかかってしまうのがザラのようです。
墓じまい/散骨でありがちなトラブル
その他、粉骨から散骨まですべて業者に依頼することで一抹の不安を感じたことは、はたして本当に該当の遺骨をすべてきちんと粉骨してくれて、そして証拠写真の通り、本当にその海に撒いてくれたのか?という点です。一応、証拠として写真は送ってもらえますが、こればかりは業者を信用するしかありません。できれば墓出しの瞬間、粉骨する瞬間、散骨する瞬間を、それぞれスマホで撮る30秒程度でもいいので、動画で撮っておいて見せてくれると、さらに親切だと感じました。
万が一、最悪の場合でも、結局、遺骨は地球上にあることに変わりはないので、「地球がお墓」「狭くて暗くジメジメした墓石内から解放した」「地球にお借りしていたものをすべて地球にお返しした」と考えれば後悔はないでしょう。
いろいろある散骨方法
少子高齢化もあり、人々の生活スタイルや価値観も変わってきていますので、今後は既存のお墓というスタイルではなく、永代供養や樹木葬(合葬墓)、自宅供養、散骨といった方法が主流にならざるをえないのが現実です。一言で散骨といっても、海、山、空(風船で飛ばす)、自宅の庭・・・など選択肢はいろいろあります。
みなさんの自分らしい先祖供養の選択肢の1つとして、当体験談が一助になれば幸いです。