人間、事故など何らかの事情で、歯(永久歯)を失ったり、生まれつき一部の歯がない場合があります。
生まれつき永久歯が生えない先天性欠如歯
日本人の10人に1人以上の割合で、歯の一部に、生まれつき永久歯が生えてこない人がいます。それを「先天性欠如歯」とか「先天性欠損歯」「無歯症」と呼びます。親不知(親知らず)も加算すると、日本人の30~40%に歯の「先天性欠如」があると言われているようです。
参考:先天性欠如歯「永久歯が生えてこない?」
http://www.k-central.jp/other/ketujo/
Youtuberの「散歩するアンドロイド」さんもどうやら先天性欠如歯のようで、動画でそれをネタにしていらっしゃいました。→【ヤバい】歯が抜けました。
両サイドそろって「対」で欠損する傾向
かくいう私も先天性欠如歯で、先天性欠如歯の中でも典型的な、下顎の第二小臼歯(5番)が両サイド「対」になって欠如しています。「散歩するアンドロイド」さんは上顎の側切歯(2番)ですが、やはり両サイド「対」になって欠損していらっしゃるようです。
「対」になって欠落していることから、経験者としては、遺伝子の設計図になんらかの異常が生じたのではないか?と感じています。
進化(退化)?
ただ、一説によると、先天性欠如歯は一種の「進化」(人類が使わなくなった機能の退化)とも考えられており、代表的なものに「親知らず」があります。古代の人類に比べ、硬い物を食べなくなった(食べる必要がなくなった)現代人の顎が小さくなって親知らずが生じたり、親不知自体が消滅したりするのと同様、さらに歯の数が少なくて済むようになった現代人の1つの進化が先天性欠如歯である、との見方もあります。乳歯は何年持つか?【乳歯の寿命】
一般的に、乳歯の寿命は30歳になるくらいまで、人によっては50歳くらいまで持たせている人はいるようですが、60歳までは厳しいらしいです。つまり、乳歯の寿命は生え変わらない場合は通常25年間ほど、かなり物持ちが良かった場合は45年くらいのようです。
先天性欠如歯がある人は、永久歯が生えてこないので、すでに存在している乳歯をできるだけ長く持たせるか、乳歯も無くなってしまった場合は代わりのモノ(ブリッジや入歯、インプラントなど)で代用させていくしかありません。
右側は23年間もった
下顎の第二小臼歯(5番)が両サイド「対」になって欠如している先天性欠如歯の私の場合は、右側は23年間、乳歯を持たせた(持続できた)のですが、23年目に乳歯の欠損(割れた)&少々の虫歯で抜くことになりました。よって、右側の乳歯の寿命は23年でした(つまり平均的な乳歯の寿命だった、ということです)。そして、現在に至るまで、その右側の先天性欠如歯の部分は、接着性ブリッジになっています。左側の乳歯の寿命は永久かも?
一方、左側の先天性欠如歯部分の乳歯は、現在も健在です。この調子だと少なくとも半世紀(50年)は余裕で、うまくいけば一生、持つかもしれない雰囲気です。なぜ左側の乳歯が永久歯のように長く持っているかというと、
- 虫歯になっていない
- 歯の根っこが末広がりの「八」の字型に広がっていて、がっちり根付いている
- 両隣の歯とのコンビネーションも良好で、しっかり挟まっている
- 上顎より下顎のほうが重力の影響を受けにくい
などの理由によるようです。
ちなみに、これがもし上顎の先天性欠如歯だったら、常にかかっている重力のせいで、ストンと落ちていたかもしれません。つまり上顎より、下顎の乳歯のほうが一般的には長持ちする、ということです。
よって、経験者としては、今の調子で頑張れば乳歯は永久に持たせることもできる、と自信を持って言えます。
ブリッジの寿命は?
ブリッジの寿命は、一般的に7,8年と言われています。私の場合、前述の通り、右側の先天性欠如歯部分は、乳歯が取れたあとは接着性ブリッジしていたのですが、そのブリッジが先日、歯磨きをしていたら取れてしまいました、そのブリッジは世間が「ミレニアム」と騒いでいた、20世紀と21世紀がブリッジする頃の、ちょうど2000年に入れたので、21年間、持ったことになります。 私のブリッジが一般的な寿命の3倍近く(21年間)持った理由は、おそらく
- 接着性ブリッジだったので、前後の歯の上表面部分しか削っていなかった
- 激しい食生活ではなく、歯磨き等、それなりのケアをしていた
- 下顎だった(上の歯は重力がかかるので落ちやすい)
ということが考えられます。
ブリッジは虫歯になりやすい
但し、ブリッジしていた前の歯は虫歯になっていました。それがブリッジが外れた原因でした。ブリッジのリスクとして前後の健康な歯を削ってしまうので、削った前後の歯が虫歯になりやすい点が挙げられますが、まさにそれに該当してしまいました。
ブリッジは、ダミーの歯の下の空間に食べ物が溜まりやすいので、よほど歯間ブラシやフロスなどで入念に歯磨きしておかないと、そのダミー歯の舌の部分から横の削った歯の部分にかけて、非常に虫歯になりやすいようです。
虫歯を治せばまたそのブリッジを少し加工・修正してまた使い続けることはできなくもないのですが、私の場合、3年前の自転車事故で下顎骨折した後遺症で、下顎の歯並びが微妙に悪くなってきたので、先天性欠如歯で歯がないことをいいことに、これを機に、歯列矯正することにしました。
先天性欠如歯のメリット
生まれつき歯の本数が少ないことは、デメリットが目立ちますが、歯がないことをメリットに変えることもできます。例えば歯列矯正の際、抜歯をしなくてもよくなるケースもあります。プチ歯列矯正を除き、一般的に歯列矯正は歯を何本か抜歯しなければならないことが多いです。歯を抜いてスペースを作って、そのスペースを利用して歯の位置を微調整するからです。そのため、ふつうは上下左右の第一小臼歯(計4本)を抜歯することが多いですが、私の場合、先天性欠如歯で下顎の第二小臼歯(5番)がすでに2本無いので、それをいいことに、永久歯の抜歯をすることなく歯列矯正ができることがわかりました。 具体的には、
- 上の歯の抜歯はいっさい無し(上下ともに永久歯は抜歯しない)
- 下顎の第二小臼歯(5番)の右はブリッジを止める。
- 下顎の第二小臼歯(5番)の左に残っていた乳歯は抜歯
- 奥歯2本(左右で計4本)を前に移動させつつ
- 下顎奥の両サイドに眠っている親不知を起こしてそれも前に持ってくる
という歯列矯正の計画が立てられました。但し、歯茎の中に眠っている(横たわって埋もれている)親不知を起こして前に持ってくる場合は、矯正のトータル期間は3年~5年くらいにはなるだろう、と言われました。
個人差はあると思いますが、先天性欠如歯がある方は、元々歯がないことを逆手にとって、歯列矯正の際、永久歯を抜歯する必要がない、というメリットを享受できるかもしれません(言い換えると、インプラントやブリッジなどで歯を削らなくても、矯正で先天性欠如歯部分を補うことができる・・・かもしれない)ので、ご参考にしていただければ幸いです。