水虫を完治させてから10年、再発させていない自己体験談です。
私が水虫を治そうと思ったきっかけは、2011年の3.11の大震災です。私は直接の被災者ではありませんが、もし避難所生活になったら、水虫その他、あらゆる持病が悪化するのを見て、今のうちに治せるものは治しておこう、と思ったからです。そして2011年12月には水虫を完治させました。
水虫を完治させる唯一の方法
水虫治療の方法は、怪しい都市伝説的なものも含めると無数にあります。全身の水虫を一網打尽にする必要性
結論から先に書いておくと、水虫を完治させる方法は「お医者さん(皮膚科)に行って、飲み薬を処方してもらう」。これしかありません。私はラミシール錠125mg(塩酸テルビナフィン錠)を処方してもらい、3ヶ月で完治させました。
(飲み薬は肝臓の状態にもよりますので、必ず医者の診断と処方が必要になります。)
それから10年経ちますが、再発させていません。
塗り薬は限界がある
水虫治療(水虫薬)は塗り薬が一般的で、確かに最近の水虫用の塗り薬は優秀で、確実に水虫の菌(白癬菌)を殺すことはできます。ちなみに水虫の患部にアルコール・スプレーを掛けてもまったく効きません。
しかし、塗り薬だと、高い確率で「塗り漏れ」が発生してしまうため、結果的に、完治はできません。
水虫は予想外の場所に転移している
水虫は気づいた頃には、予想外の場所に広がってしまっているからです。スポーツジムの脱衣所等で観察していると、人間は足を触った手で、頭やその他、全身のいろいろなところ、そしてドライヤーやらありとあらゆる物を触りまくっていることを確認できます。こうして水虫は足だけでなく、あらゆる部位に転移しています。
頭や股間
予想外の場所とは、例えば頭(頭皮)や股間です。水虫が頭に転移した状態を頭部白癬(しらくも)と言い、股間に転移したものを いんきんたむし(股部白癬:こぶはくせん)と言いますが、いずれも同じ水虫菌(白癬菌)です。パッと見、妙に頭がパサついてる感じの人だったり、フケが多い人などは頭の水虫を疑ったほうがよいかもしれません。
股間が妙にかゆかったり、皮膚カスが多かったりする場合も、かゆみ止めを塗るより、根本的な原因かもしれない水虫を疑ったほうがよいでしょう。
人は無意識のうちに、水虫菌が付いた手で、頭を掻きむしったり、いろいろな箇所を触っています。もちろん靴下、衣服、タオル、カバンの持ち手、筆記具などあらゆる場所にも菌は付くことになります。
頭皮や股間以外にも、背中や手に水虫を発症するケースもあります。
いずれにしても、水虫を長年放置する性質がある人は、外見的にも清潔感がない(パサついてる感じがする)傾向があります。
こうした全身に広がった水虫を、均等に一網打尽する方法は、飲み薬しかありません。
足だけでも広範囲
自分が「ここ水虫だ」と認識できている部分は、特に症状がひどいから気づいただけであって、かかとを含め、足の広範囲~足以外の部位にもすでに広がっていることが多いです。例えば かかとが、
- カサカサしている、
- 白く粉吹いたみたいになっている、
- 古くなった鏡餅みたいに固くヒビ割れてる、
という症状は、深層にいる水虫が食い散らかした皮膚が表面に上がってきているからそういう症状になっている可能性があるので、美容の問題としてとらえるのではなく、医学的に水虫を疑い、治療したほうがよいでしょう。
水虫の断末魔
実際、私も飲み薬を飲んだ後、自分が思っていもいなかった部位(足の他の指や側面など)・・・というか、足のほぼ全範囲に水虫が潜んでいたことを知る結果になりました。と言うのも、飲み薬を飲むと、枯れて茶色くなった水虫菌が、ぶどうの房のように束なって皮膚表面に浮き上がってくるので(上図はそのイメージ画像)、予想外の場所に水虫菌がいたことを知らされることになるからです。あちこちから浮き出てくる水虫の群集の死骸は、集合体恐怖症の人には気持ち悪いかもしれませんが、一網打尽される様子は爽快でもあります。
ちなみにかかとは皮膚が厚いので、塗り薬が浸透しにくいです。その意味でも内側から治す飲み薬のほうが、手っ取り早いです。
ツメ水虫は飲み薬で治すしかない
足の水虫を数年放置しておくと、ツメの中まで水虫菌が侵食していき、いわゆる「爪水虫」になります。特にご年配の方や、女性でブーツやハイヒールなど先端が尖がった靴をよく履き、指先に圧がかかることが多い人、ネイルを愛用する人は、爪水虫になっていることが多いです。
ツメ水虫の症状は分かりやすい
ツメ水虫の段階的な症状は以下の通りです。- 初期は爪の白濁や黄濁、
- 次の段階としてツメの中に血豆ができたように黒く変色し、
- 最終段階では爪が変形し、ツメの厚みが増し浮いてきます
- 最終的には「ツメのような何か汚いものがかろうじて指の先端に乗っかってる」ような、他人には身ぜられない醜い状態になります。
- その段階をさらに突き抜けると、歩行も困難になってきます。ホームレスの人が足を引きずっていることが多いのは、水虫の悪化が原因であることが多いです。足全体が水虫(カビ)に乗っ取られてしまうのです。
つまり、他人が見ても一瞬でツメ水虫であることはわかるので、恥ずかしいです。
塗り薬はツメの中までは届かない
スポーツジムやスーパー銭湯、プールなどの脱衣所で、ご年配の方が、ツメの水虫に一生懸命、塗り薬を塗っている、という無意味な行為を見かけることがあります。なぜ無意味かというと、爪水虫には(ツメの内部には)塗り薬は届かないので、爪水虫は飲み薬で治すしかありません。いくら塗り薬を爪とその周辺に塗っても無駄です。
実際、スポーツジムで見かける常連のご年配の方は、1年以上も塗り薬をツメに塗り続けています。つまり、まったく良くなっていない、ということです。
水虫は国民病であり感染症
日本全体では「5人に1人が水虫」といわれている国民病ではありますが、実際はもっと数が多いように見受けられます。スポーツジムの脱衣所等で、毎日のように他人の足をそれとなく観察していますが、5人に2人以上が水虫で、その水虫にかかっているうちの3人に1人くらいはツメまでも侵食されています。年配の人ほど水虫率は高くなるので、誰しも水虫にかかるのは「時間の問題」です。
水虫の人は、他人が横から素足を一見しただけですぐに分かります。普通の水虫だったとしても、足の側面やかかと周辺が白っぽく粉吹いているような感じになっていますし、そもそもその人全体に清潔感が薄く、パサついてる感じになっていることが多いです。ツメ水虫の人に至っては、上記のような症状なので一目瞭然です。
なにより、水虫の人は風呂上りや運動後等(つまり足がふやけた後)に、一生懸命、皮をむいていたり、ドライヤーで指間を乾かしたりティッシュでふいていたり、冬でも素足にサンダルや草履だったりするので、すぐにわかります。
水虫のほとんどは自覚なし(かゆくない)
水虫のほとんどは感覚的には無症状です。必ずかゆみがあるとは限りません。しかし、自然治癒することはないので、時間経過(加齢)とともに猛威を振るってきます。高齢者施設に入所する方の7割はすでに水虫にかかっている、とも言われています。自分の症状
私も水虫だった時は、基本的にはほとんどかゆみを感じることはありませんでした。私の「自覚症状」としては、靴を履いていると圧迫感と熱さを感じ、すぐ靴を脱ぎたくなる(電車に乗っている時やオフィスに座っている時など、無意識のうちにとにかく かかと部分だけでも靴から浮かせて換気・冷却させたい衝動にかられます)、冬でも通気性のよいサンダルを履きたくなる、という程度でした。
また、私の「患部の症状」としては、風呂上りに水泡で皮が白く浮いてきてむける「小水疱型」および指と指の間に赤く亀裂が入ってちょっと痛い「指間型」が主な症状でした。私は幸い、ツメ水虫までは進行していませんでした。
TVコマーシャルの弊害
「水虫がかゆい」という錯覚は「かゆ~い、水虫!」と過剰に煽っているTVコマーシャルのせいです。こうしたテレビCMのせいで、逆に「かゆくなければ、水虫ではない」=「だから私は水虫じゃないんだ!」と勘違いしてしまう人が多くなってしまいます。そのため、特に女性は水虫という感染症なのに、美容の問題とすり替え、「皮がめくれたり固くなったりしてるけど、かゆくないからきっと水虫じゃないわ。私、コラーゲンが不足しているのかしら?」などと違う方向にお金と労力を費やした挙句、どんどん水虫を悪化させ、かつ皮膚感染症を拡散させてしまう人が多くなってしまいます。
現代社会では、女性のほうが水虫にかかりやすくなっています。女性のほうが密閉率が高い履物(ロングブーツなど)や圧迫率が高い履物(先端に圧が集中するハイヒールなどオシャレ優先の変形靴)を履く機会が多くなっているからです。
水虫菌は日常生活のいたるところにいるので、湿度と圧力の条件さえ整えば、誰でもすぐに水虫にかかってしまいます。
水虫完治後のケア方法
私は水虫が完治した後は、以下のようなケアを続けており、幸いにも、この10年、再発していません。1.足は手でこすって洗うだけ
お風呂に入っている時は、足は手でこすって洗うだけです。消しゴムで消しカスを出すようなイメージで、絶対にツメを立てないようにしながら、手の指の平で軽くこすって、アカを軽く出すだけで十分です。アカを取りすぎると、せっかくの自然の防御層を壊してしまい、水虫やウィルス性イボが侵入しやすくなってしまいます。最悪な軽石
ナイロンのアカスリなどで足をこする必要はありません。道具を使うと、目に見えない無数の傷を皮膚表面に付けてしまい、「水虫さん、いらっしゃい!」と言っているようなものです。一番最悪なのは軽石です。軽石でゴシゴシ足をこするのは、水虫を培養しているのと同じことです。しかも軽石自体、カビが繁殖しやすく、カビの培養源となります。軽石の中のほうが黒くなっているのはカビです。
ゴシゴシこすらないといけないほど皮膚が固くなっているのは、水虫が食い散らかして固くなった皮膚が上に上がってきているだけの可能性があるので、コスることは時間の無駄。皮膚下の根本的な原因を根絶したほうがよいです。
水虫が完治すると、赤ちゃん肌とまでは言いませんが、赤くふっくらした柔らかな皮膚が戻ってくるので、それほど日々こする必要もなくなります。
2.寝る前に足を洗う
基本的に足を清潔に保っておくことが大前提になりますが、私は1日の終わり・・・特に寝る前は、持田製薬のコラージュ フルフル リキッドソープで足を洗っています。 その他、久光製薬のブテナロック 足洗いソープなどもよいかもしれません。尚、これらはあくまで「予防」のためであり、水虫そのものを治癒させる薬ではありません。
また、雨などで水が靴を浸透して足が濡れてしまった時も、ふやけた状態をすぐに解消するようにすること。できればその際も足をしっかり洗うことを心がけています。濡れたままの靴下をずっと履いている(足がふやける)と水虫菌が皮膚内に浸透しやすくなるためです。
3.靴下のみを裏返して洗濯する
洗濯については、靴下と衣服は分けて洗うようにしています(できれば洗濯機を複数台所有し、靴下専用の洗濯機と使い分けるのがベストです)。また、靴下を洗う時は裏返して洗っています。中(内側)のほうをよく洗うためです。そして裏返したまま干し、日光に裏側を当てます。履くときに表に直して履きます。
4.水虫時代の靴や靴下はすべて捨てる
これも当たり前ですが、自分が水虫だった時代に履いていた靴下や靴はすべて処分することです。革靴や運動靴、ブーツ類はもったいなく感じるかもしれませんが、思い切って捨てましょう。それらには水虫菌がまだ付いている可能性が高いからです。せっかく治しても、水虫が付いたものをまた身に着けていれば、すぐに再発します。思い切りが大切です。靴下などを新品に入れ替えるタイミングですが、飲み薬を飲み始めて1週間目ぐらいがよいでしょう。人間の皮膚は1-2週間で入れ替わるので、飲み薬を飲み始めて1週間目ぐらいから水虫菌が死に、皮膚表面に浮いてくるからです。
5.五本指靴下を愛用
前述の通り、水虫時代の靴下はすべて破棄しました。代わりにすべて新品の五本指靴下に交換しました。五本指靴下は、外国人へのお土産にすると喜ばれるほど、日本が誇る製品の1つです。五本指靴下はユニクロでも売っています。これにより、例えば革靴を長時間履いていても、指間がむれにくくなり、水虫の予防につながりますし、何より快適です。
6.屋内でもスリッパを愛用(素足や靴下のみ は避ける)
家の中ではスリッパ(サンダル)を愛用し、素足(または靴下のみ)で過ごさないようにしています。家の中でも、素足で過ごしていると、どこにでもある水虫菌が必ず付着し、目に見えないようなちょっとした擦り傷から皮膚内に侵入してくるからです。また、素足に水虫菌が付いているのに、出掛けるからといって、その上から靴下を履いたりすると、「湿度と圧迫」という水虫菌にとっての好条件が整い、出先の靴の中で、水虫を培養(感染)することになります。
ちなみに、私は室内用のサンダルの中敷きには、百均のダイソーで売っている紙の中敷きを入れて、定期的に交換しています。
水虫対策と予防方法(気を付けること)
× レンタルシューズ、共有スリッパ、共有の靴ベラ
ボーリング場やスポーツジムのレンタルシューズは使わないようにしましょう。どちらも利用後は、簡易的な消臭スプレーを掛けただけで使いまわされ続けるので、高い確率で水虫菌が残っています。ボーリングやスポーツジムは、1時間以上シューズを履き続けますし、体を動かし、シューズ内の温度と湿度も上がるので、絶好の水虫感染現場となります。病院などの共有スリッパも危険です。最近は靴を履いたまま診療してもらえる病院も増えているので、共有スリッパを使わないで済む病院を選びましょう。
どうしても共有スリッパを使わざるを得ない環境の場合は、代えの靴下を持参し、帰りに自分の靴を履く前に、新しい靴下に履き替えましょう。
その他、公共の施設の玄関などによく設置してある、共有の靴ベラは使わないのはもちろんのことです。
× 素足や靴下のまま歩かない
スポーツジムのシャワー室や脱衣所の素足で歩くのは避けた方がよいです。これらの床は「脱毛や剥がれ落ちた他人の皮膚のジュータン」のようになっています。試しにドライヤーや息を床に吹きかけてみてください。モゾモゾと大量の髪の毛やゴミが床の上を移動していきます。そんな床を素足や靴下で歩くと、顕微鏡でしか見えないような菌がたくさんついたまま、靴を履くことになりますので、靴の中で水虫に感染します。例え靴下を履いていても靴の中の湿気でブレイクスルー感染するので、靴下は防御してくれません。靴を脱いで上がる居酒屋なども要注意です。掘りごたつみたいな食卓の下など、掃除が行き届いていないので、高い確率で水虫菌をお持ち帰りすることになります。
知人宅に上がる際や訪問介護の際なども、できればマイスリッパを持参するか、代えの靴下を用意しておいたほうがよいでしょう。
日本人に水虫キャリアが多いのは、湿度が高いことと、こうした靴を脱いで上がる習慣があるからだ、と言われています。
× バスマットは使わない
バスルーム内は天井から床までカビの宝庫です。お風呂に入る際は、バスタブ内以外は、浴室内でも ビーチサンダルなどを履いて、素足でバスルームの床には触れないほうがよいです。というのも、お風呂中は足もふやけているので、水虫菌の浸透率が上がるからです。
もちろん、風呂上りはバスマットなど使わないことです。キッチンペーパーのような紙を敷いて、使い捨てにするか、足だけティッシュでふくようにして、そのまま清潔な室内スリッパに乗る・・・というのがベストです。
珪藻土のバスマットも、軽石と同じように菌を中に溜めこむ傾向があるのでやめたほうがよいです。
× 角質パックや軽石(とにかく皮はむくな、こするな)
最悪レベルの商品に、角質除去をうたって、足をパックして皮をペロッとむく類の商品が通販やドラッグストアなどでも売られていますが、これは、- せっかくの防御層をはがしてしまうので、足を弱くし、水虫やウィルス性イボなどをかえって侵入しやすくさせ逆効果・・・
- その角質(固い皮膚)は、水虫がくいちらかした食べかすが皮膚表面に上がってきているだけの可能性があり、角質パックでは水虫が潜んでいる深層部分は除去できないので本質的な解決になっておらず無意味です。誰かが脱ぎ散らかした衣服を、延々と整理し続けるだけで、脱ぎ散らかした本人を改善させない限り、永久に重労働が続くのと同じ無意味な行為・・・
結局、角質パック系は、前述のように軽石でゴシゴシこすっているのと同じことで、逆効果です。とにかく足は傷つけたり、余計なことはしないことが大切です。
水虫を放置すると・・・
以前、ホームレスの特集番組で、水虫が悪化し、両足がスイカの中身のように赤く丸くパンパンに膨れあがり、どこがくるぶしかもわからないような(ドラえもんの足の丸い部分を真っ赤にしたような)状態になっているホームレスを見かけました。その方は、歩行もほぼ無理でトイレに行くのがやっとな状態。その番組の数ヶ月後には、消息不明となり取材中止になっていました。放置された家屋がツタで覆われていくがごとく、水虫も放置しておくと人間の全身をカビで覆っていきます。程度の差はあれ、ほとんどのホームレスが歩行に支障が生じているのは、重い水虫に要因があるように見受けられます。
水虫は新型コロナウィルスと同じ「感染症」です。コロナと違って自然治癒することはなく、他人や家族にもうつるし、自分の体内でもいろいろな箇所にうつる感染症です。放置すると全身が水虫になります。治せるときに治しておくに越したことはありません。