エアーズロックを登らず1周して分かったこと

2019/11/05

オーストラリア

t f B! P L

このオーストラリア4週間ラウンドの旅の中で、エアーズロック(ウルル)に立ち寄りました。
エアーズロックリゾート(Outback Pioneer Hotel & Lodge)を3泊4日予約しました。最短だと2泊3日で十分なのですが、予備日として1日余裕を持たせた日程を組みました。

初日

ケアンズからカンタス航空の国内線でコネラン空港(エアーズロック)に着いた初日は、早速、夕方のサンセット&オルガウォークのツアー(英語版)に参加。エアーズロックが真っ赤に燃え上がる夕日を堪能しました。
ちなみに各ツアーは英語版と日本語版があるのですが、日本語版のほうが少し高めの値段設定になっています。私は安いのと空いているのと、日本人団体客に巻き込まれたくないのとで、いずれも英語版のツアーに参加しました。

2日目

エアーズロック2日目は、いよいよ「エアーズロックの日の出・登山&ベースツアー」の日です。
【当日の予定】:
  • 04:00起床
  • 04:40ピックアップ「ウルル サンライズ ベースツアー」(英語版)
  • 06:08 日の出鑑賞
  • 06:40 エアーズロック登山
  • 09:30 アボリジニー・カルチュラル・パーク
  • 11:30 エアーズロック・リゾートへ戻る
今度は朝日で真っ赤に燃え上がるエアーズロックを堪能。
と言っても結局、サンセット(夕日)と同じなんですが・・・エアーズロックの見ている側面が違うだけ・・・東側(朝日)と西側(夕日)。
その後、登り口へ行くと・・・


CLIMB CLOSED DUE TO STRONG WINDS AT SUMMITの文字が。エアーズロックは強風や高温で登れないことが結構あると聞いていたので、一応、翌日に予備日を設けておいて正解でした。(ちなみに登り口付近には、アボリジニーからの「神聖な場所なので登らないで」という看板も掲げられています。)

徒歩でグルっと1周スタート

そこで代替案として、本日はエアーズロックの岩の周囲をグルっとまわることにしました。

  • エアーズロック(ウルル)1周約10km 徒歩2.5h~3.5h
    (速度やコース、寄り道具合による)

エアーズロック(ウルル)は上空から見るとこんな感じ(google map)で、縄文時代の矢じりのような、はたまたマンボウのようにも見えます。強い風雨が作りだした芸術なのか、並行に斜線がやたらと入っているのが気になります。おそらく将来的には、その斜線に沿ってエアーズロックは割れていくと思われます。

その周辺には徒歩コースが何個かあるのが上のgoogle mapからもわかります。その最短コース(一番、岩に近い/沿ったコース)を歩くことにしました。道はもう観光客用に完全に出来上がっているので、迷うことはありません。

一言で「一枚岩のまわりを歩く」と言っても、近くで見ると、想像以上にいろいろな様相を呈していて、飽きることはありませんでした。

歩き始めると、早速、裾がえぐれたような場所が現れました。これはパースのウェーブロックと全く同じ原理で、上から岩に沿って落ちてきた雨水が地面に当たって跳ね返り、岩を削ったことによりできたものです。

それがちょうどよい洞穴加減になっていて、その壁面に、アボリジニーの壁画を見ることができました。

一見、砂漠地帯ですが、木々や草が生い茂っていることからもわかるように、意外と水たまりなどもあり、太古の昔から生きていそうな丸っこい形の昆虫(フンコロガシ?カナブン?)なども見かけました。

こんな感じで裾野はえぐれたところが結構あり、また割れた岩盤や落石が足元にもごろごろ転がっています。
大雨の時は滝のようになるようです。雨水が通った後がえぐれてへこみ、そこから岩が割れていっているようです。年月とともに、エアーズロックはどんどん崩壊していっているのがヒシヒシと感じられます。

道は岩から少し離れた箇所もあり、こんな道を進んでいきます。
途中、焦げているような木が何本かありました。バスに乗っていた時のガイドの説明では、オーストラリアには森林火災(高温や摩擦などによる自然発火)などで燃えることを前提とした木があるそうです。燃えることで固い木の実が開き、また新たにそこから芽が出る仕組みになっているそうです。

側面はかなりボッコボコで、大規模に崩落している箇所もあります。断面を見ると、けっこう、岩の内部はスッカスカのスポンジみたいに空洞部分が多いことがわかります。
風食による巨大なくぼみや穴などはノッチとも呼ばれ、精霊が宿っているとされる(wikipedia)
とのことです。

岩以外は360度が地平線まで赤土と草原なので、どこか別の惑星にいるような感覚にも陥ります。火星に草木が生えたらこんな感じになるのかもしれません。ちなみにこてこて観光客の女性もふつうに歩き回っているような感じなので、エアーズロック1周の難易度はそれほど高くありません。しっかりしたシューズと紫外線対策と水をしっかり持っていれば、普通の人なら大丈夫でしょう。

紫外線対策といえば、日本から団体ツアーで来ていたとおぼしき女性が、全身1ミリも隙間がない白装束と大きなサングラス・・・まさに月光仮面そのものな格好をしてエアーズロック周辺をうろついていて、かなりドン引きしました。欧米系のゆったりとした観光客が多い中、白装束で痩せて神経質そうな日本人が一人だけハロウィンをやってるようで、かなり浮いていました。確かに紫外線は日本の何倍も強いのですが、少々やりすぎ感が否めませんでした・・・。

宮崎アニメに出てきそうな怪物が大口を開けたような(映画「エイリアン」のような?白イルカみたいな?)岩肌もありました。なんでこんな切れ込み的な崩壊具合になるのかはわかりませんが、自然が作り出す、摩訶不思議な岩の造形美が堪能できます。

ちなみに遠くから見るとツルンとしているように見える箇所も、近くで見ると岩肌はボロボロで、ポロポロ剥がれ落ちていっているのがわかります。

登らないことに決めた理由

1周してわかったことは、
  • 1つとして同じような景色がなく、自然が作り出す巨大なロックアートがかなり面白い(こうした側面芸術は上からは眺められないし、遠くからだとわからない)
  • エアーズロック(ウルル)はモロい。かなり崩壊が進んでいるので、余計な崩壊を進ませぬためにも、人は登らないほうがよい
ということです。

ただでさえ風雨によって浸食が進んでいるのに、人が岩の上を歩くと、そこが雨路となり浸食していき、歩く衝撃の蓄積とあいまって、岩の崩壊が加速するからです。登山用に杭を岩に打ち込んでいるのもヤバイと思います。

以上の理由から、十分満喫したこともあり(加えてアボリジニーが登らないようにお願いしていることもありますが)、私は結局、エアーズロック(ウルル)は登らないことに決めました。

ということで、翌日は登れなかった時のための予備日としていたのですが、天候に関わらずもう登らないことに決め、翌日は「キングスキャニオン」のツアーに参加することにしました。

尚、エアーズロック(ウルル)周辺には、似たような岩山が何個かあり、そのうちのいくつかは、もうパックリ割れてしまっています。エアーズロックの行く末を見ているようでした。

そしてさる2019年10月25日をもって、ようやく観光客向けの「エアーズロック(ウルル)の登山が禁止」となりました。良かったです。

エアーズロック(ウルル)は登らずに1周するに限ります。この付近で同じような登山的な体験をしたければ、キングスキャニオンなどがオススメです。

ちなみに私はエアーズロックとリゾートとの道中に見かけた、ぺたーんと平らにそびえ立つ「コナー山(Mt. Conner/Connor)」が気になりました。この山の浸食が進めば、やがてエアーズロックみたいに丸っこい塊になるのかもしれませんね。(今は丸っこいエアーズロックも、大昔はこんな形だったのかもしれません。)

結局、いまだに「あの時、エアーズロックに登っておけばよかった。」と思うことはまったくないどころか、むしろ、「エアーズロックに登ったことは自慢にならないか非難の対象にさえなりえる」ようになってきているので、やはりあの時、登らなくて正解だったな、というのが現在の正直な感想です。

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