この時期(3月末~6月頃)、マンションや家のベランダなどの壁や柵に、布団やシーツ、座布団、カーペットなどを干してあるのを見て、唖然とすることがあります。
というのも、建物の表面(壁面、柵、手すりなどすべて)には、赤い虫が無数にいて、そこに干したら、干したものが赤い虫だらけになるからです。
赤い虫がうじゃうじゃ
外気温が20~25度前後が常態化してくる3月末~6月頃、家やマンションの外壁や柵などをよく見ると、1mmほどの赤い虫がうじゃうじゃ動きまわっていることに気付くでしょう。赤い虫=タカラダニ(カベアナタカラダニ)
この赤い虫はダニの一種で、タカラダニ(カベアナタカラダニ)と呼ばれています。赤ダニとも呼ばれ、潰すと赤い汁が出ます。ほぼ日本全国にいます。目を近づけて よ~く見ると、日常生活のすぐ傍に俊敏に動きまわっているモノが無数にいるので、かなり気持ち悪く感じるでしょう(人によっては「かわいい」と感じるかもしれませんが)。
おそらく1建物につき数千~数万匹レベルで生息しており、一軒家、マンション、アパート問わずの外壁、室外機などあらゆる設備から道路脇の柵、ガードレール、バス停のベンチ、公園のベンチ他、ありとあらゆるところにいます。
建物など人口建造物のくぼみや割れ目、隙間、コケなどを主な寝床にしているようです。
私も数年前、この自作ソーラーパネル・スタンドで自家発電生活をするようになって、ソーラーパネルをベランダに置く際に、(赤い虫がソーラーパネルに登ってきて)初めてのその存在に気づいた次第です。なので、ベランダや家の外壁を凝視したことがない人は、いまだにその赤い虫の存在に気付いていない人も多いのではないでしょうか。
その前段階として「白い幼虫」がうじゃうじゃ
赤いのは成虫で1mmほどあるので、まだ肉眼で確認できるのでいいですが、実はさらに近づけて目を凝らしてみると、その前段階の、肉眼で見えるか見えないかギリギリのレベルの小さな白い虫(少し細長い・・・おそらく赤い虫の幼虫段階)が、さらに無数にうじゃうじゃ壁面を動き回っているのが確認できます。その白い虫は、スマホ目で視力が悪い現代人にはなかなか確認することは難しいでしょう。視力がそこそこある人が10cmくらい目を近づけて、じーっと観察すれば、ようやくなんとか見える、といったレベルです。
ベランダの柵や外壁に干すという行為は、要はそんなダニの踊り場の上に、布団や洗濯物をドカッと置いているということになります。つまり、置いた瞬間にダニをべチャッとつぶし置いた物に染みを作り、その後は新参のダニがぞろぞろ置いた物に侵入してくる、という構図になります。
赤い虫はいつ多いか?
タカラダニはまだ生態が謎に包まれているところが多いようですが、数年お付き合いしてそれとなく観察していると、以下のような特性があるように思われます。- 晴天時に多い(曇りの日はほとんどいない、雨天時はゼロ)
- 強風時はほとんどいない
- 気温は25度くらいの時が多い
- 季節は3月末~6月頃
- ベランダの内側(日陰)にもいるが、日なたの方が多い
- 平面・垂直面・素材を問わない(建物外壁やステンレス柵、窓ガラスや窓のゴムパッキン周辺など)
どうもあの赤さには、晴天(紫外線)が大きく関係しているように思えます。特にゴールデンウィーク前後に多いので、私は勝手に「ゴールデンウィーク虫(GW虫)」と呼んでましたが、人によっては「春告げ虫」と呼んでいたりします。
要は、春から初夏にかけて多く、梅雨を迎える頃には卵を産んで消えていく・・・というサイクルのようで、30度近くの暑さ(熱さ)が常態化してくると見かけなくなります。雨天時も体が水に張り付いて動けなくなるので、苦手のようです。しかし、水を吹きかけても動きが1分程度止まるだけで、水では駆除できません。
タカラダニの害はあるのか?
このタカラダニ、人間に対して害はあるのか?というと、「あるかないか」でいえば、害は「あります」。1.シミを作る
直接、人間の血を吸ったり、噛みついたり、という害はありませんが(というか、人が気づいておらず計測できていないだけ、という説もあります)、このダニの存在にきづかずに、知らずに外のベンチに腰掛けたりすると、べチャッとそのダニをつぶしてしまい、服に染みを作ることになります。「天気がいいから」と布団やシーツ類を外壁に干すと、何匹ものタカラダニを一斉に布団でつぶしてしまい、布団に無数にシミを付けてしまうことになります。風で干した物がゆらめくと、さらにダニをつぶすことになり、しまう時に干した物をはたいたらはたいたで、またダニをつぶしてシミを作ることになります。シミだけならまだしも、干しているとどんどんタカラダニが布団の中に入ってきて室内に持ち込まれることになります。
2.アレルギーを引き起こす
つぶした赤ダニの体液が人間の体について、皮膚に発疹が出来る事例はあるようです。皮疹を生じた被験者もいたということなので、ダニを潰した汁を皮膚につけないように注意が必要です。また、ダニを潰した汁は赤いので白い服などに付着しないようにも注意が必要です。また、持ち込んだダニの糞や死骸を吸い込んで、アレルギーを起こす可能性も考えられます。特に現代人はアレルギー許容量が限界に達している人が多いので、ちょっとしたことで新たなアレルギーを誘発してしまう可能性があります。
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/130120/topics-10.html
3.室内を歩きまわり不快にさせる
さらに、洗濯物や干した布団などを介して室内に持ち込むと、寝ている最中に鼻や耳の穴、口の中などに直接、入ってきてしまう可能性もあります。室内で食卓やパソコン周辺などの卓上、自分の手の上などをウロウロしている赤い虫を見かけ、ギョッとした人も少なくないのではないでしょうか。それほど知らないうちに室内に持ち込まれているものです。いわゆる不快害虫に該当します。
対策・駆除方法
結論から言うと、タカラダニをある程度駆除することはできますが、完全に根絶させることは不可能です。建物外壁・設備その他、殺虫剤が届かないようなあらゆるところに存在し、しかも数が多すぎるからです。業者に委託しても無理でしょう。その建物のすべてに殺虫剤を撒いたところで、すぐにまた隣り近所から新たにやってくるからです。新築の家やマンションであっても、次のシーズンにはもうタカラダニだらけになっていることでしょう。
今のところ、決定的な天敵も見つかっていませんし、もしタカラダニの天敵が見つかったとしても、あれだけの数を駆除する天敵を用意すれば、今度はその天敵が人間の害になること間違いなしです。
但し、洗濯物を一定時間、ある程度守ることはできます。以下が私が実践している方法です。
1.一般的な殺虫剤は有効
一般的な殺虫剤スプレーで、簡単に駆除できます。私はたまたまゴキブリ用のゴキジェットプロが手元にあったので、それをタカラダニに吹きかけたら、一瞬で駆除できました。ゴキジェットプロのスプレーをかけると、
- まずベタっとその場に張り付き、全体的な動きは止まります。
- そして数秒で動かなくなり、息絶えます。
- 周囲の殺虫液が乾燥して消滅しても、亡骸はずっとその場にあり、1日2日でひからびていきます。
- そのうち風などに飛ばされ消えます(気になる人はティッシュで取るか、ホウキ等で掃くとよいでしょう)。
ゴキジェットプロの良いところはノズルが付いている点です。タカラダニは小さいので、1,2匹を始末するのに、そんなに広範囲に吹きかける必要はありません。ノズルでピンポイントで直径5cm程度に一吹きすれば、十分、1匹は駆除できるので、スプレーを軽く半押しする程度でエコに済ませることができます。
殺虫剤スプレーをかけた場所にはしばらく他のタカラダニも近づきません。あくまで私の所感ですが、殺虫剤を吹きかけた場所の忌避効果は最低2,3時間程度以上~6時間程度以内は持続するようようです。つまり、一度、特定の場所に吹きかけておけば、洗濯物を干している時間くらいは「持ってくれる」(忌避効果を発揮してくれる)ということです。
2.殺虫剤スプレーを洗濯物への進入路へ吹きかけておく
そこで殺虫剤スプレーを用いての、タカラダニから干した物を守る方法は以下の通りです。- まず、洗濯物や布団などは壁や柵へは干さないように心がけることです。物干しざおで干すなどして、なるべく宙に浮かせて干すことが大切です。
- 物干しざおに干す前に、その物干しざおへの進入路(支柱や物干し台など)にゴキジェットプロなどの殺虫剤を周囲・広範囲に吹きかけておきます。そうすることで、一定時間、忌避効果でバリアを作り、タカラダニの侵入を予防することができます。
不安な方は、さらに物干し台の周辺など、スプレーを吹きかける範囲を広げておくとよいでしょう。
- あとは干した物はなるべく早く取り込むようにしましょう。
以上のように対処することで、100%完璧ではないかもしれませんが、おおよそのタカラダニの被害から干した物を(一時的に)守ることはできます。
※水やアルコールは効かない
ちなみに、ゴキジェット・プロを使う前に、私は霧吹きで水を、またアルコールスプレ―で消毒用アルコールを、タカラダニに掛けてみたのですが、一瞬、動きは止まるものの、またすぐ動き出し、まったく効果はありませんでした。以上、この時期、ベランダの柵や壁に布団を干さないほうがよい理由と、赤い虫(タカラダニ)対策のメモでした。