歯の矯正(歯列矯正)をやっているので、医療費控除を受けるために確定申告をやってみた・・・という体験談です。
医療費控除は、納税者本人または納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族のために1年間に支払った医療費が以下の条件の際に受けられます。
- 10万円を超えた場合
- または総所得金額の5%のいずれか低い金額を超えた場合
(但し、年間所得が200万円未満なら医療費が10万円以下でも控除が受けられる)
歯列矯正でいくら税金が戻ってくるのか?というと、私の場合は還付金 67411円 ということになりました(約95万円の申告額に対して)。
ちなみに私の歯列矯正の初期の段階でかかった費用はこちら
→詳細:歯列矯正の青ゴムとバンドの痛みと注意点 申告後、2週間が過ぎた頃に、国税電子申告・納税システム(e-Tax)より還付金の支払い通知が来ました。還付金の支払い通知(「【税務署からのお知らせ】還付申告の処理状況更新について」)は、マイナポータルにログイン後、「e-Tax還付金処理状況へ」へのリンクをクリックすることで確認できます。
歯の矯正なのに医療費控除になるの?
歯列矯正(矯正歯科治療)は保険が効かないし、医療費控除の対象にもならない、とよく言われます。しかし、実は歯列矯正でも医療費として認められるものもあります。
歯の治療費は「医療費として認められる」
まず大前提として、「歯の治療費」は「医療費として認められるもの」になります。「保険診療外の治療」も認められます。歯の治療でも例外的に「認められないもの」
その上で、「医療費として認められないもの」は、「美容のための歯科矯正治療」や「歯石撤去の費用(歯のクリーニング)」などです。概念としては、「治療」は認められるが、「予防」や「美容」は認められない、という分け方です。
不正咬合は病気であり、矯正歯科治療費は医療費として認められる
以下、私がお世話になっている矯正歯科医からもらった資料の文面です。矯正歯科治療費
不正咬合は病気であり、矯正歯科治療費は医療費として認められます。ただ、成人の矯正治療の場合、美容のためと混同されて認められない場合がありますので、(医療費控除の確定申告が)否認された場合には、当院から治療証明書(診断書)を発行します。それでも認められない場合には、歯型をお渡ししますので税務署にご持参ください。なお、治療証明書には文書料(3300円税込)がかかりますので、ご了承ください。
私の歯列矯正の背景
私の場合は、4年前の自転車事故で下顎を骨折。顎の骨折は完治したものの、その後3年かけて、下の歯並びが崩れてきたための歯列矯正治療なので、「美容のための歯科矯正」ではありません。上の歯並びは崩れてこないのに、また、産まれてからン十年も歯並びに崩れはなかったのに、下だけ、事故後に崩れてきたので、事故との因果関係が強く疑われます。
実際、下顎の骨折が完治した時に、整形外科医に、「少しだけ(1,2mm程度)左の顎が内側向きについたかな?」と言われました。その微妙な骨の付き具合が、顎のような繊細な箇所では、歯並びのズレとなって出てきてしまうことがあるようです。
つまり、私の歯列矯正は「美容のため」ではなく、あくまで骨折などと同じ治療行為であると認識しています。
よって、高額な矯正歯科治療費を確定申告して医療費控除を受ける(=多く払い過ぎた税金を還付金という形で取り戻す)ことにしました。
ネットでの確定申告方法
25年ほど前に一度、確定申告をしたことはありますが、その時は「紙」しか申告方法はありませんでした。最近はネットでも「確定申告できるようになった」と国税庁も大体的に宣伝しているので、インターネット経由で確定申告してみることにしました。
スマホで確定申告しようとしたけれど・・・
「スマホでも簡単に確定申告できる!」という宣伝文句をあちらこちらで目にしたので、まずスマホで確定申告しようとしました。マイナンバーカードを使っての「マイナンバーカード方式」でスマホで申告しようとしたのですが、マイナポータル(https://myna.go.jp/)にて、
お使いのデバイスはこのバージョンには対応していません。と表示され、結局、私のスマホではできませんでした。
スマホでの確定申告というのは、まだまだ発展途上の段階で、極々限られた人のみにしかできないことが分かりました。
次にパソコンでの確定申告にトライ
まず「マイナンバーカード方式(2次元バーコード)」を試みたが
スマホでの確定申告ができなかったので、次は国税庁のe-TAXのホームページで「NEW」(新方式)と表示されている、「マイナンバーカード方式(2次元バーコード)」・・・マイナンバーカードとマイナンバーカード読取対応のスマートフォンを利用してe-Taxする・・・つまり、パソコンをメイン媒体として、マイナンバーカードを、ICカードリーダライタの代わりにスマホを使って読み取って確定申告する方法・・・をトライしました。しかしここでもまた、前述同様、マイナポータル(https://myna.go.jp/)にて、
お使いのデバイスはこのバージョンには対応していません。と表示され、進めることができませんでした。
まだまだスマホでやる確定申告のハードルは高い(利便性は薄い/対象者が限られている)と実感しました。
スマホがネックになっているので、スマホを使っての確定申告はあきらめました。
次に「マイナンバーカード方式(ICカードリーダライタ)」にトライ
次に、「マイナンバーカード方式(ICカードリーダライタ)」なるものにトライしました。これはマイナンバーカードを(スマホではなく)ICカードリーダで読み取る、という方法です。しかし日常生活でほとんど使うことも無いICカードリーダライタなんて持っていないので、わざわざAmazonでICカードリーダライタを買いました。「Amazon`s Choice」のタグが付いたICカードリーダが送料税込みで1600円ほどであったので購入。
結局、確定申告するのに1600円ほど使ったことになります。ICカードリーダライタなんて二度と使わない可能性もあるので、ここだけ見ると紙で申告したほうが安かったことになります。
全体的な流れ
ここでネットでの確定申告の全体的な流れをまとめると、基本的には、国税庁 確定申告書等作成コーナーに表示される画面の指示に従っていくだけですが、
作成コーナートップ
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
- マイナンバーカードの登録・連携
マイナポータル(https://myna.go.jp/)と連携しておく(マイナンバーカードを登録し、読み取れるようにしておく)。 - 「医療費集計フォーム」を作っておく
国税庁 確定申告書等作成コーナー
(https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl)の右側にある、
「医療費集計フォーム」(エクセル)をダウンロードし、領収証の集計を書き込んでパソコンに保存しておく。次の3の過程でこの保存しておいた「医療費集計フォーム」をアップロードすることになります。 - 上記1,2の準備ができたら、あとは同じく国税庁 確定申告書等作成コーナー
(https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl)
の「作成開始 >」から順に画面に表示される指示に従って進めていくだけ。
という主に3つの作業となります。
「医療費集計フォーム」
国税庁のホームページからダウンロードした「医療費集計フォーム」は、ただのエクセル(表計算)のファイルです。この「医療費集計フォーム」に、
- 協会けんぽなどから郵送で送られてきている「医療費のお知らせ」に書かれている医療費や、
- 矯正歯科医院からもらった領収証の金額、
- 通院にかかった交通費や薬代など
その保存しておいた「医療費集計フォーム」は、国税庁 確定申告書等作成コーナーにて「作成開始」すれば、途中で「医療費集計フォーム」を読み込む(アップロードする)指示があるので、その時にアップロードすれば、あとはweb上で自動集計してくれて、自動的に「確定申告書」が完成し、申告できます。
私の場合、最初のマイナポータルでのマイナンバーカードとの連携にとまどったので、ICカードリーダーが届くまで2,3日かかってしまいましたが、いざ申告が始まれば40分程度で確定申告は終了しました。
ネットでの確定申告(自分は今回は医療費控除だけ)を経験してみてのメリットは、領収書の数字を打ち込んでいけば、勝手にweb上で自動集計してくれて、数字が出てくるので、紙での申告よりは楽である、という点です。
領収書の金額を打ち込んでいけば、最後に上の写真のように、還付金額も表示してくれます。
終わってみればネット(パソコン)での確定申告は簡単でしたが、スマホでの申告は、使えるスマホの機種が限定的だったりと、まだまだ使えない、という心象です。
まとめ
確定申告の際に、生計を1つにする家族全員の1年間(1/1~12/31)の医療費が10万円、または年間所得(給与所得控除後の金額)の5%を超えた場合、医療費控除を適用すれば、税金が還付されます。申告は過去5年間までさかのぼっておこなうことができます。
下記の通り、医療費には病院の治療費だけでなく、通院にかかった交通費や治療目的の市販薬なども対象になります。
健康保険や保険金などで補てん(給付)された金額は、医療費の豪快から差し引いて申告することになります。
ネットでの確定申告(医療費控除)に必要な物
- 「確定申告書」
「国税庁 確定申告書等作成コーナー」(https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl)の「作成開始 >」を入力していけば、それが自動的に確定申告書となります。 - 「医療費集計フォーム」
これは前述の通り、上記「国税庁 確定申告書等作成コーナー」からエクセル・ファイルをダウンロードできるようになっていますので、これに病院名や領収証の金額などを入力しておきます。
病院や薬局の領収書、交通費の領収書等の提出は不要ですが、自宅での5年間の保管義務があります。 - 源泉徴収票
- マイナンバーカード
- スマホまたはICカードリーダー(マイナンバーカード読み取りのため)
- 還付金の振込先情報(還付金を振り込んでもらいたい自分の銀行の情報)
保険金などで補填される金額
以下の給付金など「保険金などで補てんされる金額」は、医療費から差し引く必要があります。なぜなら「すでに保険金等で補填されているのに、さらに控除を受けるのはおかしい」からです。- 健康保険の出産育児一時金、療養費、高額療養費の給付金
- 生命保険、損害保険、共済の医療保険金、入院給付金
- 死亡保険金や出産手当金は、差し引かない
前述の「医療費集計フォーム」に保険金の項目があるので、それに補填された保険金額を書き込めば、自動的に差し引かれた「医療費集計フォーム」が生成されるので楽です。
医療費として認められるもの
- 病院に支払った診療費、治療費、入院代
- 病気、ケガの治療薬代(市販薬でもOK)
- 治療のための鍼灸・マッサージの費用
- 歯の治療費(保険診療外の治療もOK)
- 入院中、付き添いに支払った報酬や交通費、食事代(業者等に依頼した場合のみ)
- 妊娠中の定期検診の費用と病院へ行くための交通費
- 分娩費用、出産にともなう入院費用
- 通院のための交通費・通院上必要なタクシー代など
- 領収書が出ない交通費については、毎回メモ書きをして控除を受けることができます。
- 一人で通院できない子どもの付き添いのための交通費は1人まで控除対象となります
医療費として認められないもの
- 健康診断、人間ドック、予防注射の費用
- 予防のための薬代(健康食品、ビタミン剤など)
- 健康維持のためのマッサージ、スポーツクラブの費用
- 美容のための歯科矯正治療、歯石撤去の費用
- 入院中、親族に支払った付添料、医師や看護婦への謝礼
- 入院の際、自ら希望して入った個室料、差額ベッド代
- 出産時・産後に頼んだ家政婦の報酬、里帰り費用
- 自家用車のガソリン代・駐車場代
医療費控除により軽減される税額は、個人に適用される税率によって異なります。
細かい条件などがありますので、わからない点は、税務署に確認されるとよいでしょう。