小澤征爾さんの壁画(ボストン)

2019/08/28

アメリカ

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着いた途端、しっくり来る街と来ない街があります。ボストンは私にとって「しっくり来る」街でした。

ボストンに親近感を持たせてくれた原因の1つに、この小澤征爾さんの壁画があるかもしれません。

 壁画の場所 
  • 26 Westland Ave, Boston, MA U.S.A.
  • ボストン交響楽団のシンフォニーホールの北側、セント・ステファン・ストリートを挟んだシンフォニーホールの関連施設の建物の裏側の駐車場の壁。
自分は音楽通ではないので、この壁画の存在は知らなかったのですが、宿泊したユースホステルからボストン・シンフォニーホールが近くだったので、ホステル周辺を散策している最中にこの壁画がちょうど目に入ってきました。

壁画の全体像はこんな感じ↓です。

小澤征爾さんが、真ん中で両手を上げて指揮していらっしゃいます。

実はこの写真は2003年6月のもので、現在(2019年)は、以下のような壁画にリニューアルされています。

ストリートビューで見る現在の小澤征爾さんの壁画

リニューアルされた壁画では、小澤征爾さんが同じように指揮している絵ではありますが、2003年当時の壁画が、ただオーケストラの演奏風景描写であったのに対して、リニューアルされたものは印象的・観念的に小澤征爾さんはさらに巨大化して描かれ、両手を力強く前に突き出しています。手がすごく大きく描かれているので、まるでスターウォーズのジェダイの騎士がフォースを前方に発しているようなパワフル&スピリチュアルな仕上がりになっています。

しかし、残念なことに、ここは駐車場なので、車が停まっている時(特に昼間)は、壁画の一部分は隠れてしまうようです。

ジョン・ウィリアムスやS.スピルバーグとの関係性


スターウォーズと言えば、そのサウンドトラックはジョン・ウィリアムスですが、以前、「小澤征爾 終わりなき道 無垢なる共感を求めて」というテレビ番組でジョン・ウィリアムスが、小澤征爾さんのことを、
彼は私のボスです。私をボストンポップスオーケストラの監督に招いたのは実は征爾でした。

と称し、スティーブン・スピルバーグも小澤征爾さんに向かって、

あなたの指揮を見た瞬間、心の中から音楽が生まれていると感じました。いつの日か私も心の中から映画が生まれるような努力を重ねたいのです。

と言って、スピルバーグが作った小澤征爾さんのバイオグラフィー的な短編映画に、ジョン・ウィリアムスが生演奏で曲を付ける、というコンサートが小澤征爾さんを迎えておこなわれていたのが、両者の関係性がよくわかってとても印象に残っています。

壁画の変遷


この壁画についてネット上をいろいろ調べてみると、2006年2月には今のバージョンの壁画になっているので、2003年6月~2006年2月の間にリニューアルされたようです。

上の写真を見ても分かるように、2003年当時ですでに壁画はボロボロに剥がれつつあったので、かなり前からそこに存在していたことがわかります。もしかしたら、それ以前にも、別のデザインの壁画がそこにあったのかもしれません。

29年間もの間、ボストン交響楽団で指揮していたとはいえ、かなりボストンの人々から慕われていたんだなぁ、ということが、この壁画からもわかります。

日本人の誇りです。

ボストンは街自体はそんなに大きくなく、小ぢんまりと綺麗にコンパクトにまとまっているような街ですが、この小澤征爾さんの壁画といい、ボストン美術館の日本美術のコレクションの多さといい、(ちなみに泊まったホステルも炊飯器があったり、トイレに巨大なセンスの装飾があったり、)何かと日本への造詣が深く、親日的な印象をあちこちで感じました。

ボストンの地下鉄に乗っていると、「日本人ですか?」と白人系の女性が声を掛けてきました。ボストンの大学で日本語を勉強しているらしく、ちょっと日本語を試してみたかったようで、とてもフレンドリーでした。

全体的に文化度が高いというか、落ち着いているわりには若い人が多くて活気があり、インテリ度も高い感じで、アメリカの中でも好きな街の1つになりました。

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