G SuiteからGoogle Workspace Business Starterへ移行体験談

2022/04/25

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G suiteからGoogle workspace乗り換え
Googleから最近、何回かにわたって以下のような通知が来ていたので、Google Apps時代から15年以上使ってきた無料のG Suiteから有料のGoogle Workspace Business Starterへ乗り換えた作業メモを残しておきます。

Googleからのメール通知
この機会にぜひ Google Workspace に切り替えてご活用ください
まもなく、以前の無料版 G Suite にはアクセスできなくなります。現在、新しい Google Workspace サブスクリプションに切り替えていただいた方に特別割引をご提供しております。今後数週間以内に、料金がかからないオプションの順番待ちリストにご登録いただくことも可能になります。June 1, 2022までにアカウントの切り替えを選択されなかった場合は、おすすめの Google Workspace サブスクリプションへの移行が自動的に実行されます。

15年以上、会社のメールは無料だった

私は会社設立時から、とにかく経費をかけないこと(コストカット)に努めてきました。経費がゼロに近いほど、倒産確率も限りなくゼロになるためで、おかげで社会の荒波の中でも15年以上にわたって、それなりに順調に経営してこれました。

例えば、法人としてのメールアドレスは、無料のGoogle Apps(グーグル・アップス)にて、Gmailに会社の独自ドメインを乗せるというカスタム仕様のGmailにて、ずっと無料で運営してきました。

info@[会社のドメイン名].com
admin@[会社のドメイン名].co.jp

といった形の、法人としては一般的な独自ドメインのメールアドレスをGmailで運用する形です。

ユーザーも無数に作れるので、社員のメアドもすべてGmailに会社ドメインを乗せる形で複数を無料で運用していました。
昔は「Gmail for your domain」と呼ばれていたサービス機能で、それが「Google Apps for Your Domain」にバージョンアップ(統合)した流れだったと記憶しています。

やがて無償版Google Appsは無償版 G Suite(ジー・スイート)へと名称が変更(当方のコース名は現在は「G Suite Legacy」というものでした)。

そして無償版 G Suite は 2012年に新規提供が停止となり、有償版のみ運用(有料になった)ということになったのですが、それ以前に無償版Google Appsを使っていた継続利用者は、ずっと無料のまま使い続けることができていました。

それがついに今年2022年に、無償でのサービス提供は打ち切りとなり、無料のまま使い続けることができなくなったわけです。

無料の選択肢が消滅

今回のGoogleからの通知には、

今後数週間以内に、料金がかからないオプションの順番待ちリストにご登録いただけるようになりますので、よろしければ Google Workspace 管理コンソールからご登録ください。

といった何やら今後も「無料で利用し続けられるオプション・プラン」も用意されているような期待を持たせる案内もあったのですが、この「料金がかからないオプション」は、

  • カスタム ドメインで Gmail を利用する機能を必要としない場合 や、
  • 複数のユーザーを管理する機能を必要としない場合

にのみ使えるオプションということが分かりました。
当方のようにカスタム・ドメインでのメール(Gmail)が主な利用目的の者にとっては、事実上、Google Workspaceでの無料の選択肢は断たれてしまった、ということになります。

Googleサービスからの乗り換え(引っ越し)も検討したけれど・・・

Google Workspaceよりも安いメール・サービスはたくさんあるので、もちろん、他への乗り換え(引っ越し)も検討しました。

例えば、WORDPRESSで作った会社のホームページを「さくらのレンタルサーバ」にて運用しているので、「さくらのレンタルサーバ」に付随するメールサービス「さくらのメールボックス」でもGmailに会社の独自ドメインをカスタムして格安で法人仕様のメールを使うこともできます。

さくらのメールボックス
独自ドメインのメールが使えるメール専用プラン
月額換算 87円 容量20GB
iPhoneやAndroid、Gmailでも独自ドメインでメールの利用ができます。
https://rs.sakura.ad.jp/mail/

有料 Google Workspaceに移行してみる理由

しかし、

  • 「さくら」のメールの容量が20GBと少ない(現在のG suiteでの使用量は11GB/15GB)
  • メールの設定やデータ移行がめんどうくさい(社員もめんどくさそう)
  • Google workspaceへの有料化分の損失は、Google Adsenseで十分にペイできるほど、最近はblogger(blogspot)のアドセンスの収益が右肩上がりなので、アドセンスでworkspace有料化分をまかなえ、経費圧迫にはならない。つまりGoogleのサービス内で自給自足できるようになっているので問題ない。
  • 以前、ロシアからの不正ログインなども自動でブロックしてくれたり、と15年以上使ってみてのカスタムGmailへのセキュリティ上の信頼
    →詳細:ウクライナ関連?日本中がサイバー攻撃下の今
  • 15年以上も無料で使わせていただけたというGoogleへの感謝の意

等々の理由により、無償版G Suiteから有償版Google Workspaceへアップグレードすることにしました。

8月までは無料、その後1年間は半額の割引なので、一旦お試しがてらGoogle Workspaceに移行してみて、不都合があれば、その時改めて別のサービスに移ることも可能です。例えば、今後このGoogle Workspaceがさらに値上がりするようなことがあったら、高い確率で他のサービスへ移転すると思います。

G SuiteからGoogle Workspace Business Starterへ

ということで、無償版Google Workspace(旧 G Suite ←旧 Google Apps)から、有償版 Google Workspaceの最安プラン「Business Starter」(1ユーザー月680円)へアップグレードすることにしました。
グーグル・ワークスペース・サービス比較
グーグルの料金プランとしては「最も人気のアイテム」として「Business Standard」(1ユーザー月1360円)を推しているようですが、当方が「Business Starter」を選ぶ理由は、

  • Gmail以外の機能はほぼ使わない(Google Workspaceは不要な機能ばかり付いている)
  • メール容量は30GBあれば十分
  • 従業員数もそんなに多くない

ためです。

今時「ビデオ会議」をわざわざをGoogle workspaceを使ってやる必要性もないのに、1ユーザー680円~というのは正直、「高いなぁ」という気はします。月額300円程度以内ならまぁ妥当なのではないでしょうか。

ちなみに表示価格には「消費税は含まれておりません。」とのことです。

1.移行前にまずユーザー選別・削除

G SuiteからGoogle Workspace Business Starterへ移行作業に入る前に、まず、現在利用しているユーザーの間引きをして不要なものは削除することにしました。

間違って不要なユーザーを有料化させないために

というのも、Google Workspace有料版は「1ユーザー」単位で課金されるため、Google Workspace有料版へアップデート作業に入ると、管理下にある現存のユーザーがそのままスルスルっと自動的にすべて有料版へアップデートされかねないからです。

機能し始めるまでに24時間かかるかもしれない

また、

このユーザーを削除してから 24 時間後に、このユーザーの現在のメールアドレスを別のユーザーの予備のメールアドレス(メール エイリアス)にすることができます。
https://admin.google.com/ac/users?hl=ja

新しいサブスクリプションがすべてのユーザーに反映されるまでには、最長で 24 時間ほどかかる場合があります。
https://admin.google.com/ac/billing/buy?action=UPGRADE

とあり、これまで存在していたあるユーザー(メールアドレス)」を削除した後、同じメールアドレスをエイリアスとして設定できるようになるには24時間ほど時間を空ける必要がある(新設定が機能するようになるのに24時間ほどかかる場合がある)とのことです。

そのため、メールアドレスが存在せず受信漏れが生じる、という空白の時間を生じさせないためにも、メール連絡が外部から来なさそうな時間帯に、
  1. 既存メールを削除
  2. Google Workspaceにアップグレード
  3. エイリアスとしてそのメールアドレスを復活させる
という一連の作業を速やかに完了させたほうがよいためです。

実際に自分が行った作業では、24時間も空ける必要もなく、既存メアド削除→即workspaceへ移行→即エイリアス作成・・・で、すぐにエイリアスにて(削除したユーザーのメアドにて)メールを送受信できるようになりました。

ということで、当方はこれまで(旧 Google Apps 改め 旧 G suite無料版)は、いくつユーザーを作っても(いくつメールアドレスを作っても)無料だったので、例えば、

info@
contact@
admin@
webmaster@



など、1メールアドレスごとに1ユーザーという形で無数に保有していたのですが、それらを一旦、削除。

エイリアスをフル活用してコストカット

Google Workspace有料版へアップグレードした後に、1つのメールアドレス(1ユーザー)の中に、そのエイリアスとして info@、support@、admin@、webmaster@・・・・などのメアドを復活させて、できる限り1つのユーザー(1つの受信トレイ)に集約させることにしました。

Google Workspaceでは、ユーザー1人につき、最大30個のメール エイリアスを、追加料金なしで追加できます。

これにより、ユーザーの数を大幅に減らすことができるので、1ユーザー(1受信トレイ)につき課金が発生するGoogle Workspaceの利用料を大幅に削減することができます。
格安でGoogle Workspaceを使う方法

例えば、従業員も受信トレイを共有してよいのなら、1ユーザーだけ契約して、その1ユーザーの中に、従業員30人分のエイリアスを作れば、料金は1ユーザー分のみで済ませることができるということになります(エイリアスから「エイリアスのメアド」で送信も可能)。

そもそも最近は様々なSNSでの連絡手段があるので(社内間の書類の授受ややりとりはSNSでおこなうことができるので)、必ずしも「1従業員1メールアドレス(1ユーザー/1受信トレイ)」にこだわる必要性もなくなってきています。

エイリアスで「受信」と「送信」もできるようにする方法


メールエイリアスは「受信」だけでなく、それぞれのエイリアスで「送信」することもできます。

例えば、従業員の個人アカウントの yamada@[会社名].com のユーザー(メアド)内に、info@[会社名].com のエイリアスを作っておけば、yamada@[会社名].com のユーザーが、info@[会社名].com のメールアドレスで送受信することもできます。

エイリアスでの送受信を可能にするには、以下の通り、2つの設定をすればOKです。

  1. Google Workspaceの管理画面側
    管理ツール > ユーザー > 「予備のメールアドレス」を作成する
  2. それぞれのユーザーのGmail側
    ユーザーのGmail > 設定 > アカウント > 「他のメールアドレスを追加」に作成したメールアドレス(エイリアス)を追加する

この2つの作業で、エイリアス宛に外部からメールを受信できますし、送信時に任意のエイリアスを送信元として切り替えてメールを送信することもできます。

2.すんなり進まない移行手続き

いよいよ有料版Google Workspaceへの移行手続きに入ったのですが、

  1. 最初は「Google Admin」管理画面に表示されていた、
    詳細「この機会にぜひ Google Workspace に切り替えてご活用ください。まもなく、以前の無料版 G Suite にはアクセスできなくなります。・・・」
    の「詳細」をクリック。
  2. 「Google Workspaceへのアップグレード」の「続行」をクリック。

で、項目入力を進めていくと、「お支払い情報の設定」でなぜか入力する住所がアメリカの州の選択のみになって、それ以上 前に進めない状態になり手続きがとん挫。

そこでそこから手続きを進めるのではなく、1からやり直す形で、

  1. Google Admin管理画面の「サブスクリプション」の、
    現在、無料のG Suite legacyエディションをご利用です。よろしければ Google Workspace Business Starterへのアップグレードをご検討ください。[詳細] [アップグレード]
    の、[アップグレード]をクリック。
  2. サブスクリプションの切り替え」で右上の「国」の選択項目を「アメリカ合衆国」にデフォルトでなっている部分を「日本」に切り替える
  3. そうすると、「支払い情報の設定」でも日本の住所を入力できるようになり、アップグレードを完了することができました。
google-workspace-business-starter

同じような手続き途中での壁にぶつかった人はいるようです。

Google workspaceを無料版から有償版にアップグレードしようとしていますが、何度やっても請求先アカウントの登録で住所入力欄が北米仕様(郵便番号、州)になって、日本の住所が入れられません。Googleのサポートは有償サービスに登録して初めて相手してもらえるので、一歩手前で導線がありません。ちなみにアカウントは日本アカウントになっています。 考えられる対処法はありますでしょうか。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10249029055

前述のように、「国」の切り替え項目がある、別のアップグレードへの入り口を探して、そこから入り、「国」を日本に切り替えれば、この問題は解決します。

おそらくこれはログイン方法の問題(ログインしてどの場所からアップデートを始めたか?の問題)・・・これまで無償版のG Suiteを使ってきた人は、支払い等が無かったためにこれまでGoogle Adminの基本設定をいじることがなかったので、「アメリカ合衆国」がデフォルト設定になったままであるため、ログイン画面の途中からアップデート作業に入った場合に生じる不具合かと思われます。

まとめ:移行して何が変わったか?

以上、無料のG Suiteから有料のGoogle Workspace Business Starterへ移行した際の体験談です。

移行して何が変わったか?というと、基本、何も変わっていません。

ただ、Gmailの受信トレイの下に表示されている容量が、これまで15GBだったのが30GBの表示になった(容量が増えた)だけ、です。

そして4ヶ月の無料期間を経過後(8月~)、最初の1年間は半額(1ユーザー340円)での請求、その後は定額(1ユーザー680円)請求されることになる、ということになります。

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